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2月21日 漱石の日

 吾輩は猫である。
 元々は人間であった。小説家を目指し懸命に執筆活動を続けていたがなかなか芽は出ず、時折やけになって酒に逃げ、また書き、酒を飲み、酒を飲み、酒を飲み、酒、酒、酒、酒……思い返せば俺は立派なアル中だったのかもしれないが当時はその自覚もなく、ただ飲む事だけを考えていて、気付いたら死んでいた。
 どうして死んだのかはわからない。最期の日もいつもどおり酒をグビグビやってた事だけははっきりしていて、でもその後の肝心な死の部分があやふやで、けどなんか冷たかったような苦しかったような気がするから、川にでも落ちたのかもしれない。
 猫に生まれ変わったと気付いた時、最初はとても嬉しかった。
 気楽な生活が待っていると思ったから。
 実際、毎日気楽だ……俺は今、とある家の飼い猫をやっているんだ。飯が猫用の餌なのは不満だが実際猫だから仕方ないとして、食って寝ての生活はめちゃ楽だ。
 でも、やっぱり俺は小説家になりたかったんだ……あの、夏目漱石のようにさ…………「すごい小説家」って肩書きが欲しいじゃないか! 「ただの俺」じゃ嫌だ! 立派な肩書き、立派な称号が俺は欲しくて、あ、なんだよ、なんだその微妙な顔は。

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