1月5日 囲碁の日
パチン。
盤上に黒い石が置かれる。
パチン。
盤上に白い石が置かれる。
またおじいちゃん囲碁やってる。
祖父とその友人が夢中になっている囲碁というものの面白さが私にはわからない。だってあんなの、ただ石を交互に置いていくだけじゃない?
「そこにこそ面白さがあるんだよ」
と、祖父は主張するけれど、本当だろうか? やっぱりピンとこない。
だって、ルールもまだ判明していないらしいじゃないか。
うちの学校に遺物に詳しい先生がいるのだけれど、先生曰く、囲碁は廃前の人類に人気があっただとか、どんな道具を使っていたとか、その辺りは判明しているけれど肝心のゲームルールはまだ発掘されていないのだとか。かろうじて、盤に白黒の石を交互に置いていくゲームだという情報が出た、それだけで。
復興歴三十四年一月五日、今日も祖父達はただただ石を交互に置いている。
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