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2月11日 建国記念の日

 今日は、この国が建った記念の日。皆で建国祝いのパーティーだ!
 うちの国は赤ん坊から老人まであわせて百人ほどもいる大所帯なので、こういう時はとっても賑やかで楽しい。広場の中に国民皆が集まって、美味しい料理を食べたり会話を楽しんだりしている。私もお寿司をもぐもぐ味わっている、と、ふと、広場の片隅にガクシャさんが座っているのが見えた。
 広場は華やかに飾り付けられている、広場の壁も床も天井も、カラフルにペイントされている、その中でガクシャさんだけがいつもと同じしかめっ面をしている。
「ガークーシャーさーん、また考え事?」
「ん? あ、君か。いやぁ……建国記念とは言うがね、そもそも『国』というものは昔と今で形が変わっている可能性があるのだよ。もしかすると、昔の国は建物の形をしていなかったのかもしれず、人口も今よりずっと多かったのではないか、と思う。何千何万……ひょっとしたら、何億もの人間がひとつの国の中にいたのではと」
 億て。昆虫じゃないんだから。そんなに人間がいたら、ぎゅうぎゅう詰めになってしまう。ガクシャさんったら、いっつもこういう変な事ばかり考えているんだから。妄想なんて置いといて、建国パーティーを楽しんだらいいのに、まったく。

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