2月1日 テレビ放送記念日
過去からタイムスリップしてきた人が今うちにいるのだけれど、どうやらはじめてテレビを見たらしい。箱の中に人が閉じ込められている! と大騒ぎだ。
「大丈夫だよ、これ、テレビっていうんだよ」
「て……てれび……?」
彼は、この時代にまだ慣れていないのだ。戸惑うのも仕方がない。怖くないよ、と優しく教えてあげる。
「で、でも」
「うん、うん、大丈夫だよ」
「やっぱり、こんなの、テレビじゃない。ぼ……僕の知ってるテレビっていうのは、モニターに映像が映っているもので、こんな、拷問器具みたいなものじゃない」
ゴウモンキグ? んー、彼の時代の文化かな? ……なんか、テレビを知っているみたいな発言もしているけれど、それにしては反応が変だ。せっかくパパがテレビに詰めてくれた役者の体を取り出そうとしている。役者が入っていないテレビなんて、何の脳波も送ってくれない、ただの箱なのに。そんな事もわからない彼は、やっぱりテレビというものを知らないのだろう。しったかぶりなんて、しなくていいのに。
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