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1月4日 石の日

 先輩の家にはたくさんの石がある。
 ただの石ころもあれば、お地蔵様だとか、狛犬みたいな物もあって、形状も大小も様々の石達が先輩の暮らすアパートの部屋を埋め尽くしている。
「石ってのはな、願いを叶えてくれるもんなんだよ」
「まあ、そこのお地蔵様とかなら何か叶えてくれそうな気もしますけど」
「形は問題じゃないさ。蓄積だよ。長い時を過ごしてきた石の中にはな、蓄積されていくものがあるんだ。歴史。情報。概念。いろんなさ、形のないものが、石という器の中で蓄積されて――」
 先輩の講釈を聞き流しながら私は、先輩の家の小さなキッチンにて、料理の準備を始める。といってもいつもどおり簡単なものしか作れないけれど。
「――の力があってこそ料理上手な可愛い後輩というのも錬成でき――」
 ところでキッチンも勿論石ばかりなので私は床の石ころをはしたなく足で退けつつ冷蔵庫を開ける。この間買い溜めしておいた食材が全く減っていない。先輩ったら、またカップ麺ばかり食べていたな。私がいない時の食生活が本当に心配だ。
 本当に先輩は仕方ない。どうせなら、私を作るより料理を作れば良いのに。

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