Aストより三題噺「猫、雨、窓」
暗闇の中、ざあざあ、ざあざあと音がする。
薄目を開ければ横になった棚が見え、視界がはっきりとして、ああ寝ていたのかと思い出す。
目をこすりながら体を起こした。正常な向きに戻った棚の上、飼い猫が体をまるめている。
その傍には窓。その外には雨。昼寝の前には晴れていたけど。
猫はぶるり、身体を震わす。寒いなら、こっちに来ればいいのに。
大方、まだ晴れている時、日の差し込む窓辺に寝転び。そのまま雨が降り、室温が下がっても、動くのが面倒でそのままそこにいるのだろう。
俺と同じで、不精な奴だから。
俺も、いい加減面倒くさがりなとこ直さないとなあ。今日も、洗濯物干したまま、取りこむのがだるくてこうして寝ちまって――。
…洗濯物?
外では雨がざあざあと降っている。
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