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【AI疑惑】 「あいつ、どうも悩んでるみたいで。絵の事で。『自分の手で描いた絵なのに、それAIが描いただろ、と言われる』って。どうしましょう。あいつに、お前はアンドロイドなんだよって伝えるべきなんでしょうか、博士」 #百字小説
【避難する時間くらい欲しかった】 僕らの学校は変形して巨大ロボットになる、という噂は事実だった。怪獣が現れ、学校が変形し、戦いが始まる中で、僕らは唐突な変形に対応できなかった。親友はロボの関節に挟まれ、先生の生首が転がり、僕もまた、 #百字小説
【机に花】 学校の教室。ある生徒の机に、花が置かれている。菊だ。その生徒は目の前の花を掴み。 口に運ぶ。 多様性の時代。今時の学校には人外だって通っている。あれは花を食べるタイプの人外。菊が一番好きらしい。 #百字小説
【親父のアルバム】 カメラ好きの親父が他界し、遺品整理中、見つけたアルバム。俺や母の写真ばかり並ぶページを捲る。最後のページで手が止まる。そこにあったのは、喪服の俺と母を上空から撮った写真。まったく、最期までこの人は。 #百字小説
【カサの増えた川】 「雨続きで川のカサが増えていますから絶対に近付かないでください」 と先生が言うので気になって、僕は川を見に行った。 本当だ。川面をたくさんの、カサやカッパが流れてく。あれは今日休んだ健くんのカサ? #百字小説
【フェルマーの執筆】 「最高に面白い小説を思いついたが、君のとこの雑誌に載せるには、余白が狭すぎる」 と語る作家。 「ちょうどいい、実は長編の依頼が。今日〆切の短編の原稿をいただいてから、その話をしましょう」 と担当。 #百字小説
【うっかり】 俺はうっかりする事が多く、今もスマホをなくしたと思い、何か知らないかとさっきまで話していた後輩に電話をかけた、スマホで。あ、持ってたわ。後輩は電話に出ず、足元の死体から着信音が鳴る。あ、殺してたわ。 #百字小説
【命の大切さを彼女は主張し続けていた】 僕の彼女はヴィーガンで、家畜という制度にも反対していたが、先日ついに宇宙人に買われていった、高値で。草食の地球人は旨いらしい。 僕はまだ人間牧場で暮らしている。彼女はもう消化されてしまったろうか。 #百字小説
【自炊と弁当】 自炊するのが面倒で、いつも弁当を狩っている。今日は狙っていた唐揚げ弁当を見事に仕留める事ができた。新調した弓矢が良い働きをしてくれたのだ。え、狩りする元気があるなら自炊しろ? いやぁそれとこれとは。 #百字小説
【三】 カップ麺にお湯を入れた。出来上がるまでの三分間を待つ間、読みかけの漫画を開く。 三冊目を読み終わった頃、ハッと気付いてカップ麺を見た。伸びていた。 麺が? いや、カップが。三メートルくらいに。 #百字小説
【違和感】 時折、俺は違和感を覚える。まるで現実とよく似た夢の中にいるような、すこしふしぎな異世界に迷いこんだような。何かがおかしいような。 まあ気のせいだろうと思いながら、いつもどおり猫馬に乗って出勤する。 #百字小説
【仲良し夫婦の死】 毎日一緒に料理する仲良し夫婦がいた。ふたりは死ぬまで仲良しで、ある時同時に同じ病気で亡くなった。 ただ夫婦それぞれの浮気相手だけは、それぞれに自分の相手が配偶者の皿に毒を盛っていたのを知っていた。 #百字小説
【三途の川を渡らぬように】 川の向こうで祖母が手をふる。ああ、これは三途の川だ。そうだ俺は事故に遭って。ああ。この川を渡っては駄目だ。 こっちに来たら駄目だと、祖母へ叫んだ。 早世した孫の後を追おうとした老婆が蘇生した。 #百字小説
【宇宙人からのハート】 ある日僕は宇宙人と遭遇した。 宇宙人は地球の文化に興味津々だったので、流行りのSNSを教えてやる。 「…で、皆このハートを集めてて…僕も…」 翌日、宇宙人が僕にくれたのは……冥王星の土地だった。 #百字小説