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私は知ってしまった。 私は、父とは血が繋がっていない。 私は、母の不倫によってできた子供だったのだから。 ……知ってしまっても、意外と、ショックは少なかった。 正直、ずっと前から、もしかしたら、と思ってはいたのだ。だからかもしれない。ずっと予想していた事だったから、私は簡単に受け入れてしまったのかもしれない。 母には似ているけれども、父とはちっとも似ていない私の顔。 そして、家族の中で私にだけある特徴。 頭の角。 そう、母は鬼と不倫したのであった
「ねぇ、あなた、ちょっといい?」 「どうした?」 「お風呂場にね、髪の毛が落ちてたんだけど」 「髪の毛?」 「長ぁい黒髪。誰の?」 「…………」 「誰の?」 「……知らないな。お前の方の髪じゃないのか」 「とぼけないでよ! あの子でしょ、見たわよ私、若くて可愛い女の子」 「……いや、でも、お前かも」 「私はね、短髪の男しか狙ってないのよ、ここ数ヶ月くらいは。長い髪ならあなたの方のターゲットでしょ。認めなさい」 「…………ごめん」 「解体した後は完璧に掃除する、髪の毛一本残さな