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私がいつものように出勤しようとしていると、妻が「ねえ」と声をかけてきた。 「ねえ、今日、しょうせつだよ」 「しょうせつ?」 「小さい雪って書いて小雪。そろそろ雪が降り始める頃ですよ、って事」 「雪か」 そうか。ああそうか、もう冬なのか。 愛する妻と結婚し、この家で二人で暮らし始めて、何度目の冬になるだろう。狭い家だけれど、裕福とはいえない暮らしだけれど、女同士の結婚を未だに私の家族は受け入れてくれないけれど、それでも私達の婦婦生活はささやかに幸福だ。そう断言して、良いと
おしどり夫婦と評判の二人がいる。 二人は幼馴染であった。幼少期から仲が良く、学生時代に交際し、卒業後少しして結婚した。子供はまだできないが、小さなアパートで二人幸せに暮らしている夫婦である。 おしどり夫婦である。 おしどり夫婦だと他人からは思われている。 愛し合って結婚したのだと思われている。そうではないのに。二人が結婚したのはただ、お互いの性格の為であった。 夫婦は二人とも、他人からのイメージを守りたいタイプなのである。 それはどういう事か。たとえばこういう事