ダイバーシティとユニバーサルデザイン

 様々なところで働き始めると,それぞれの職場でわからないことが多く,苦労する場面に多く出くわします。パソコンやプリンタの使い方から服務規律,ペンの置き場所まで,大なり小なりわからなくて困ることはいっぱいです。誰がやってもわかりやすい仕組みに整備していくことをユニバーサルデザイン化というのならば,正直それはなかなか実現されていません。
 では,その原因は何でしょうか。それぞれの職場では長年積み上げられてきたしきたりや慣習のように「働き方」の特徴が存在しているように思います。その働き方を改善できない(しない)管理者や,現状を変えようとしない現在働いている人々に問題があるとは思いません。長い目で見れば誰もが働きやすい職場環境にしていくことが重要なのかもしれませんが,現状働いている人や管理者には長い目で見る時間は与えられておらず,むしろ短いスパンでの成果を求められています。
 このような状況では,長い目で見た働き方を改善していくよりも,これまでの働き方を踏襲し,それ以外の利益を生む業務に時間をかけていくことを選択する方が得策であることは言う間でもありません。新しく加わったメンバーは少数ですから,その職場の働き方をおぼえてもらう方が,集団としてはタイムパフォーマンスがよくなります。
 短いスパンで目の前の利益を追求することを求められる今の日本では,誰もが働きやすい環境を整える(ユニバーサルデザイン化を進める)ことは難しく,職場に適応できない人は働けない状況がうまれているのだと思います。ダイバーシティと言いながら,その環境を整えるための社会環境が備わっておらず,働けない人をずっと働けない人としておくのはいつになったら終わるのでしょうか。成果第一主義が結果として負のスパイラルをうんでいるように思えてなりません。


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