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足跡探しに

あなたを知りたくてやってきました
この街で学生の頃、右左も分からず
古着を巡ってみたり、知名度のあるカフェに
並んだりしました

やけに日差しがいたいのは、なぜだろう
みんな脱力してあるいているようで
力の抜けない私は、余所者のようで
さらにそわそわしました

あなたに頻繁に会うのは小学生まででした
足の悪いあなたは、いつもリビングの椅子に腰掛けていました

大学生になったら、亡くなりました
小学生時に「いつかあげる」といった
埴輪がデスクに残されていました
しめりけのある陽射しを浴びて、土色に
輝いていました

一度あなたと喫茶店に行きました
横並び。昔はこうしたものです、と
微笑み、足を組み瓶のコーラをクイっと
しました ひどく驚き、今でもその景色が
浮かびます 本当のあなただったのでしょう

久しぶりの外出、嬉しかったのでしょう

祖母が昨年亡くなりました
絵画が遺されていました
「誰からだろう…お返ししたほうが」と
両親

調べた結果、高円寺の純喫茶との関わり、
そして祖父がそこで働いていたことが
わかりました

わたしの珈琲すき、共通点をみつけ
わたしはやはりなにも知らないのだと
心に沁みました

わたしは、区切りとして本日参りました

おじいちゃん
おじいちゃん
おじいちゃんって何がすきなの?
もっと話したかった
もっと会いに行けばよかった

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