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「喜劇急行列車」渥美清主演、1967年東映

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「喜劇急行列車」
渥美清主演、瀬川昌治監督、1967年東映による、日本国有鉄道全面協力!!の映画である。
ブルートレイン「さくら」「富士」が舞台となっており、人情味あふれる渥美清さんの専務車掌の名演が光る!!

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ボクは、正直なところ、「男はつらいよ」は全作見ていない。
・・・何作品くらい観たのか、既に記憶にないくらい、ものごころついた時には、ボクも「渥美清」といえば「寅さん」というイメージが刷り込まれている世代である。

しかし、改めて渥美清さんの「寅さん以前」の名演に惹かれる映画である。

車内では、専務車掌が、自分の昔の恋話を車内放送でしゃべっちゃうし、破廉恥娘たちの乱痴気騒ぎや、車内スリによる窃盗事件、そして、なんと、ブルートレインの車内で出産!!など、めまぐるしく事件が起こる。

しかし、渥美清さんが、全てを丸く包み込むような、懐の深さに持っていかれるような、観た後に、心がほっこり!!
非常に安心してご覧になれる、ほのぼのとした「喜劇」に仕上がっている。

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漫才コンビ、「Wけんじ」が、乗客として乗っていたり笑!
横浜で、さりげなく崎陽軒のシウマイが登場する、演出の細かさよ!!

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名女優大原麗子さんが、ブルートレインの花形食堂車のウエイトレス姿で登場する、このサービス精神!!

そして、心臓病の手術を控えてブルートレインに乗る少年に、渥美清が、「近代化以前」の、力強い蒸気機関車による峠越えの思い出を語る、ホロリとさせるシーンに象徴されるように、

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日本全体も、「戦後」という時代を乗り越えて、近代化、高度経済成長の波に乗り、未来に安心感を持っている時代だったんだろうなぁ・・・

その「近代化」の象徴、みんなの憧れ、寝台特急「ブルートレイン」。

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さすがは、国鉄全面協力!既に「前近代」蒸気機関車の時代は終わったのだ!!

EF65型電気機関車の牽く、当時最新鋭、青い車体の20系客車の車内を、2等、1等、個室、それぞれの寝台車内から、食堂車まで、必要以上に詳細に案内、

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横須賀線の111系(113系?)電車、

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非電化路線にも、既に蒸気機関車の姿はなく、「あのオレンジ色のニクイ奴」DF50型電気式ディーゼル機関車が、何気なく登場したりするわけです。

鉄道マニアの視点からも、国鉄黄金期の鉄道シーンの、詳細な(詳しすぎるくらいの)ディティールを描き、(国鉄は、1964年の東海道新幹線開業以降、赤字に転落していきます・・・)、そして、長崎や鹿児島など、九州の黄金観光スポットを盛り込み、ブルートレインの「旅情」を感じさせる映画です。

そう、この後、東映は、「新幹線大爆破」、東宝は「動脈列島」、松竹は、前に書いた「皇帝のいない八月」(渥美清さんもカメオ出演していますが笑)、

何れも、鉄道の安全性を脅かすストーリーのために、国鉄の協力は全く得られないし、「皇帝のいない八月」でブルートレイン「さくら」を大爆発させちゃて、国鉄は大激怒!!

以降、恐らくJR化されるまで、国鉄は映画撮影には一切協力しない方針になっちゃったのでありました。。。

ある意味、鉄道黄金期の、鉄道映画、家族そろってご覧になれる「喜劇急行列車」、JUNK FILM by TOEIでもご覧になれますし、是非一度ご覧になってくださいwww



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