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NHKプロフェッショナル 仕事の流儀「問い続けるは、己の進化 すい臓外科医・中尾昭公」

NHKプロフェッショナル 仕事の流儀「問い続けるは、己の進化 すい臓外科医・中尾昭公」を観た。

14年前、ボクの父親は、すい臓がんで死んだ。
その年の4月の末、健康診断の前日まで、父は「少し胃と腰が痛い」と言いながらも、仕事をしていた。
健康診断で異常が見つかって、即精密検査と入院が決まった。
すい臓がんだった。

この番組でも言われた通り、多くのすい臓がん患者がそうであるように、父も「手術不可能」と言われ、抗がん剤による治療を受けた。

その年の5月から、ボクは週末ごとに岡山に帰ったが、帰る度にやせ衰え、言葉数が少なくなっていく父を前に、なす術がなかった。

自分の「無力感」をこの時ほど感じたことは無い。

そして、すい臓がんの発見から、ちょうど3か月後の7月末に、父は60歳で死んだ。

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今回、この番組を見て、確かに「もし、14年前、中尾先生のことを知っていたら、父に少しでも可能性があったのかも・・・」と、思ったことも事実だが、もうそれは、運命である。

ただ、ボクとしては、ボクが全くの「無力」であった父の病床を経験した時、同時に「医療」の現場を間近に感じることができた。
ボクは「無力」であったが、その時に携わってくれた医師、看護師の方々は、その医師、看護師ができうる限りの尽力を尽くしてくれたと感じていて、今でも感謝しているし、今回この番組を観て、改めて、「医学」に対して、希望を感じた。

医者にもいろいろな人がいるだろう。
もちろん妄信してはいけない。
けれども、「病気・怪我」という、人間の体に起こりうる脅威に対して、人間の英知を結集させたものが、医学なのだと思う。

自分も幼少時は体が強い方ではなかったし、今までたくさんの医師にお世話になってきた。そして、今、ボクや家族がお世話になる医師の中にも、たくさんの名医に出会うことができている。

番組の中で放送された、手術の映像は、非常に衝撃的なものであったが、医師のリアルな仕事を記録した、すばらしい番組だったと思う。

番組の中で、中尾先生が「早く自分を超えるすい臓外科医が出て来て欲しい」とおっしゃっていた通り、父の命を奪ったすい臓がんでも、将来的に助かる人が増えてくれることを切に願うし、医学のますますの発展を祈りたい。

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