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横浜市金沢区とスター・ウォーズ

2020年8月25日、横浜市金沢区長浜の米軍「小柴貯油施設」跡地で、燃料貯蔵用の穴に重機が転落、28日になって作業員の方の死亡が確認された。
亡くなられた作業員の方、謹んでお悔み申し上げます。

しかし、ニュース映像をご覧になった方、周囲の緊急車両や重機と、穴の大きさを比較して、「おおおおお!!なんなんだこの穴の巨大さ!!」と驚いた方も多いのではないだろうか?

視覚の遠近感覚が狂ったような感覚・・・
「巨大恐怖症」(メガロフォビア)と言いますか、吸い込まれそうな恐怖と言いますか・・・

ボクが思い出したのは、他でもない、スター・ウォーズの映画だ。
そう、子供の頃、エピソード4(1977年、旧3部作の第1作)オープニング、レイア姫、C-3PO、R2-D2が乗った宇宙船を追う、帝国軍宇宙船の巨大さに似た、恐ろしさだ。

デス・スターの巨大さも、似たような恐ろしさかもしれない。

1997年、横浜での新生活が始まって、最初に住み、4年間学生として通ったのが、横浜市金沢区だった。
そのまま、2001年には、横浜市金沢区の会社に就職し、車で、徒歩で、2013年まで、さらに約12年間、会社の移転もあったが、横浜市金沢区を業務エリアとして勤務した。

横浜市金沢区は、首都圏近郊のベッドタウンであり、東京・横浜近郊の方は、「八景島シーパラダイス」等のレジャースポットとしてご存じの方も多いかと思う。

ボクも、事故があった金沢区長浜の「小柴貯油施設」については、その存在は知っていた。
戦前に日本海軍により燃料貯蔵施設として建設され、米軍に接収。
しかし、米軍施設から、2005年に日本に返還されたことも、金沢区で勤務していた当時は知らず、もちろん中に入ったことも無い。
車で走っていて、金沢文庫から富岡方面に抜ける際に、どうしても迂回しなければならない、うっそうと草木が茂った侵入不可能なエリア・・・外からは、わずかにタンクや施設の一部だけが見える・・・奇怪なエリアだった。

まさか、地中にあんな巨大な貯蔵施設の穴があったとは驚きである!!!

ボクとしては、何となく、奇妙でDEEPな歴史的遺構や、人工的建造物に惹かれる。
ボクが生まれた岡山をはじめ、どこの町にもたくさんの歴史的遺構があることは知っているが、日本軍の遺構から、戦後の開発を含め、横浜市金沢区には、非常に興味深いものがたくさんある。
金沢区にお住まいの方には、失礼なことを申し上げたら、ごめんなさい。

自分が知っている限り、列挙してみる。

①旧日本軍「航空技術廠支廠」

ボクが横浜市金沢区で最初に知った戦争遺構である。
学生時代、裏山にはたくさんの防空壕のような穴があり、ボクは探検部ではなかったが、その一部は横須賀まで繋がっているとか、隣の東急車両(現株式会社総合車両製作所)地下一帯に広がっているとか、いろいろな噂があった。

②野島掩体壕

金沢区野島キャンプ場に隣接する、旧日本海軍の航空機格納壕。
現存する掩体壕遺構としては、日本で最大級らしい。

③小柴貯油施設

今回の事故が起こった施設。
京浜急行能見台駅から南東方向一帯に広がっている。国道16号線の東側に、地図空白地帯は広がっており、外部から貯蔵タンクや、一部施設が確認できた。
隣接して、野口英世が検疫業務に携わった旧横浜検疫所長浜ホールや、旧細菌検査室、長浜措置場一号停留所等があり、住宅地の裏で、歴史的建造物が山林に囲まれてひっそりと佇んでいるのも異様なものがある。

また、八景島シーパラダイス近く、埋め立てにより海岸線が遠のいた、柴町の漁村(跡)の佇まいも独特だ。
旧海岸線の斜面に、高低差のある細い路地が網の目のように張り巡らされ、ごみステーションを覆うネットが漁網だったり、海が無いのに、典型的な漁師町の風情は隔世の感がある。

今でも、柴町行きのバスは、金沢文庫から細い旧道を走り、旧海岸線の細いトンネルをくぐって柴町に出入りする。そこが「小柴貯油施設」に隣接するため、裏側の「柴シーサイドファーム」とを結ぶトンネルが廃墟感満載だったり、非常に奇妙なエリアだった。

④横浜海軍航空隊基地跡

京急富岡駅の北側、埋め立て地である並木地区との間に、旧海岸線に沿うように広大な富岡総合公園がある。横浜海軍航空隊の基地跡であり、1971年までは米軍接収地だった。国道16号線鳥見塚信号から入ると、石造りの門が現存しており、異様な雰囲気を醸し出す。

富岡駅近隣には、「日本の海水浴発祥の地」(諸説あるらしいですが・・・)があり、富岡八幡宮や、並木船溜まりが、旧海岸線で、三島由紀夫の「午後の曳航」では、富岡の新興住宅地から海岸が一望できる当時の情景が描かれている。
富岡八幡宮の秋季大祭では、並木の船溜まりから、青茅の舟が手漕ぎの和船に載せられ、漁船と共に海に漕ぎ出していく神事を見ることができる。

⑤朝夷奈切通

突然、時代は遡り、中世の歴史遺構ですが、現在の鎌倉街道朝比奈の、何の変哲もない住宅地から、ハイキングコースを辿り、朝夷奈切通に入った時の、タイムスリップ感は半端ない!
切り立った岩場や、摩崖仏が突然現れ、薄暗さと静寂に包まれる感覚は、是非味わってほしい。

ちなみに横浜横須賀道路朝比奈ICの直下付近には、住宅地から忘れ去られた空白地帯があったりして、勤務時代は、よく営業車を止めて昼寝したりしていた。。。

⑥能見堂跡から、能見台森へのハイキングコース

金沢文庫駅から少し北に進み、果てしもない階段を昇る、谷津浅間神社辺りから、「金沢八景」発祥の元になった「能見堂」を通り、能見台森という、京急による大規模開発の中で人為的、計画的に残された緑地帯を通るハイキングコース。

入口付近には、2016年まで横浜市でも数少ない天然温泉「赤井温泉」があったりする、旧市街地。

そこから、「ここは横浜市内か!?」と思うような、緑あふれるハイキングコースが終わると、横浜市金沢区最高地点にそびえたつ、能見台の集合住宅群と京急不動産による新興住宅地!!
その景観の振れ幅に、めまいがしてくるくらいである!!

実は、この能見台の集合住宅群と、人工的に整備された新興住宅地は、ボクの映画「Kenji」の舞台にもさせていただいた。。。

⑦横須賀市との境界にそびえたつ集合住宅群

横浜横須賀道路を横浜から横須賀に向けて走っていると、横浜市と横須賀市との境界に当たる山頂に、ひと際巨大な集合住宅群がそびえたっている。

山頂にそびえたつその姿は、異様な威圧感を醸し出している。

実はその住宅に住んでいた会社の先輩が・・・(以下、自主規制)

⑧能見台東、巨大なイトーヨーカドーと集合住宅群

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タイトル写真とさせていただいた写真、京急800型や、「イトーヨーカドー」の看板も懐かしい!!2004年の能見台駅付近です。

ボクが就職したころには、既に開発が終わっていたが、古くは「日平トヤマ」の工場跡地を再開発したものらしいですが、巨大なイトーヨーカドーと、高層集合住宅群並ぶ、異様な風景を作っています。

南欧を謳った悲しき陸の孤島

2004年頃、卒業した学校の裏山が、突如再開発され始めました。
そこに完成したのは、南欧をイメージしたという、巨大集合住宅群。
四方を山に囲まれた、その建物に入るためには、たった1本のトンネルをくぐるしかなく、アクセスは、その管理会社が運営するバスのみという、まさしく陸の孤島!!

実はその住宅を買ったという会社の先輩が・・・(以下自主規制)

⑩金沢区その他のトワイライトゾーン

とにかく、横浜市の端、横須賀市との市境に位置する金沢区は、歴史的遺構から、現代の再開発まで、スケール感を逸脱した奇妙な建築物が多い土地でした。
金沢文庫~金沢八景に至る、京急車両基地に沿った巨大集合住宅群や、既に解体予定の京急サニーマート。

金沢区六浦にあった、敷地内に神社がある、由緒ある地主一族の家。

金沢区柳町のロータリーが導入された交差点。
柳町地区にも古い豪邸が並び、玄関を入ると、博物館のごとく動物のはく製が並ぶ家や、日本刀と甲冑が並ぶ光景などを目の当たりにした。

その他、金沢区六浦の半分崩れかけた朝鮮総連支部。

あと、実は未だにWEBで検索しても情報がわからない、金沢文庫の16号線沿いにある稲荷神社と、その裏山を昇って見た、既に解体された、由緒不明な、心霊スポットともなっていた豪邸の洋館廃墟などなど・・・

今回は、ボクが長年に渡り関わってきた、横浜市金沢区の不思議を書いてみました。

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