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出張について

新卒から、特に狙ったわけでは無いが、出張の無い会社に就職した。
合併を繰り返すうちに全国規模の会社になり、辞める直前には、部署によっては、泊まりも含め、遠方への出張の可能性もあったようだが、東京都八王子市の局勤務だったので、最後まで、出張とは無縁であった。

その某大企業を辞めて、家から自転車で10分の看板屋に転職した。
看板の「デザイン業務」への転職だったし、もちろん、転職時の面接でも、「出張」なんて話は無かったし、考えてもいなかった。

前回このnoteでかいた、「金曜日の夕方になっても土曜日が休みか、出社かわからない」という話について、

先日、友人が、
「ボクは、そんな状況を十数年続けているよ。。。もう今では休んでOKか出社しなきゃいけないか、自分で判断してるけど。。。」
という話をしてくれた。。。
うーん、みなさま、お疲れさまです。。。

なので、ボクがこれから「出張」について書くけれども、「今日、できるだけ早く、ニューヨークに行ってくれ!!!」という出張が当たり前な人にとっては、大した話じゃないのかな。。。

いやいやいや、事前にね、心づもりをしてるかどうか、だよ!!!
面接時に、業務の中で、「出張もあります!」と言われていれば、その覚悟で会社に行ってるわけで。。。

ある日、前職の看板サイン業社では、こんな感じだった。

ボクは、その日、社内で、Illustratorを使って、看板デザイン図面を作成していた。
全従業員は、社長を含めて8人で、内2人は、内勤の女性だった。
内勤と言っても、電話受け、総務経理から、販売代理店的に請け負っている、工事用仮設看板の受発注、Illustratorの入稿、シート張りまで、何でもこなす、内勤女性従業員2人だったけと、給料体型は、どうなってたんだろう??

ま、その内勤女性従業員は、17時の終業とともに、だいたい帰っていく。
その他、社長を含めて6名の男性社員は、だいたい2~3名単位で、現場に行ったり、内勤だったり、する。

午後5時頃、ボクは、自分の業務を終えていて、帰りたくて仕方が無かった。
翌日は、千葉県木更津にある、少し大きな工場の新築現場で、朝礼の8時に間に合うためには、朝の6時に会社集合なのだ!!

ところが、現場に出ていた社長や、先輩社員が戻ってきた。社長は、一人騒いでいた。
「いやぁ、スゲー渋滞だった!!打ち合わせの時間に遅れちまったよぉ!!!」

まだ、お盆休みまでには、日があったが、ちょうど、学校が夏休みに入った頃で、影響があったのか、よくわからないが、来年の東京2020に向けた、高速道路のテスト等も重なったらしい。
とにかく高速道路がすごく渋滞していたらしい。

社長は、明日朝から、千葉県木更津市に行く予定の4人の社員に向かって言い放った。
「おい!明日朝、8時の朝礼に間に合わなかったら、ヤベェぞ!!!」
「ホテル代出してやるから、今日から、行っちまえよ!!!」

はぁ???

である。
しかし、単身者で、その会社で一番長く働いている社員が、言った。
「では、今日中に出発します!」

はぁ?????

だ!

おい、おい、おい、待てよ!

まぁ、朝6時に起きるより、ホテルに泊まる方が楽なのは、わかる。
しかし、今、何も泊まる準備など、していない。。。
下着も着替えも、もちろん、無いのだ。

既に、木更津市のホテルを検索し始めていた。

もう一人の単身者が言った。
「じゃあ、ボクも、行きます。。。」

おい!おい!おい!

ボクの頭の中では、今、この事態を回避する方法と、今日、もし泊まる場合、両方のシミュレーションで、脳内がフル回転していた。。。

もう一人、妻帯者の同僚は、どうだ??

馬鹿言うなよ!こんな急に、泊り勤務、受け入れられるか!!ってんだ!!

その、妻帯者の同僚に希望をかけながら、ボクは黙ってパソコンに向かっていた。。。

「あ、大丈夫ですよ、今日から行きます!!」

実は、その妻帯者の同僚は、年齢が21歳なのだった。
若いから?どうなの?そういうものなの??
ボクには今でもよくわからない。。。

最後に、ボクは、言った。ある意味、もうどうでも良かった。別に泊りに行ってもよかった。しかし、しかし、もう何か意地のような、固いものがボクの中に出来上がっていた。

「ボクは行きません!!!」

一瞬、会社の中が静かになった。。。

同僚の社員たちは、何と言ってよいか、わからなかったと思う。
しかし、社長が口を開いた。
「わかった。じゃ、3人で行ってこい!!」

会社の同僚たち3人は、検索した木更津市のホテル、何軒かに電話をかけ始めた。
ボクは、自分の業務は終わっていたし、何もやることは無かったのだが、終始黙ってパソコンに向かい続けた。
やがて、3人が泊まるホテルが決まって、金額も決まって、社長が3人にお金を渡したりしている。
「忘れずに領収書もらって来いよ!!」

既に、午後8時になっていた。

ボク一人、翌朝6時に会社に行って、車で現場に向かうことになった。

「遅れんなよ!!」

社長は言い残して帰り、社員3人は、車に乗って、木更津に向かった。

何かがおかしい。

まだ辞めようとは思わなかったが、ボクはこの会社についていけない、と感じた瞬間だった。

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