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マジパン思い出話第八回 機械仕掛けの神、推しの生誕

 ファーストシングル「パレードは続く」の熱も冷めない8月29日、待望のマジカル・パンチラインの公式YouTubeがスタートします。しかし、そこにアップされたのは、ファンが想像していたようなものではなく「Episode01 未知との遭遇」と題された、謎めいた動画でした。

 突然オフィスの会議室に呼び出されたマジパンメンバー。そこに「私たちの上司です」という紹介で登場したのが、人工知能「AI-CD β」でした。少しずつ動画がアップされていき、やがて発表された驚きの事実が「人工知能のディレクションでセカンドシングルのMVを作る」というものでした。しかもこの動画の撮影時は「パレードは続く」の発売前。にもかかわらず次のシングルの話をするというスピード感にメンバーは驚きます。
 もともとはビッグデータを取り込んで次のシーンを分析する広告用のAIなのですが「MVも一種の広告である」という発想のもと、話題になるMVを作るべくAI-CD βがはじき出したキーワードがこちらです。

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 人工知能が導き出した謎めいたワード。それをもとにMVの制作が進みます。
 なによりこの企画がぶっとんでいるのは、AIのディレクションの元で先にMVを作り、あとから曲をそれにあてはめる、という手法が取られた点です。曲の長さもテンポも分からない、歌詞も分からない、リップシンクも撮れないという中で、各分野のプロフェッショナルが知恵を絞り謎のワードに沿ってMVを作っていく様は、さながらよくできたSF小説のようでした。
 そうしてできたMVが、こちらです。まだ曲がないので、タイトルは未定、背後の流れるのはクリック音のみ。しかしそれが妙に先進的なに思えるから不思議です。

 映像中にて語られる通り既存のアイドルMVにはないような雰囲気で、謎めいたストーリー性があるのが一番の特徴でしょう。最初にもらう本はなにか、衣装の変化はなにを意味するのか、マントの男は何者なのか、ラストの草原に寝転ぶシーンはなにを示唆しているのか。
 個人的な解釈である、と断ったうえで少し絵解きしてみようと思います。白制服から黒制服への変化は、従順から反逆への変化を表しているのではないでしょうか。「架空の世界」では、秩序を維持するために人生が本によって決められる(最初に渡される本です)。しかしその秩序に反旗を翻すべく、衣装を変え反逆の曲を流し、戦いを始める。図書室で「自分の人生が書かれた本」を打ち捨てます。それによって「架空の世界」からの脱却を果たし、魔法使いたちは「現実世界」へと堕ちてくる。それが、最後の草原で寝そべるシーンなのではないでしょうか。
 リード曲のタイトル「私が私を燃やす理由」は、私(本来の自分)が私(本)を燃やす、という意味なのかもしれません。そう考えると、学校や社会に押し付けられた役割(本)への反逆の歌、ととれます。人を本に喩える「擬物化」、本を奪い取る「狩猟本能」など、謎のワードにもきちんと応えたMVとなりました。

 そしてさらに、ドキュメンタリーの最後では驚きの発表がなされます。このMVにあわせてなんと、四曲の楽曲が制作されたのです! こうしてリリースされたのが、クアトロA面シングル「DEUS EX MACHINA」でした。DEUS EX MACHINAとは「機械仕掛けの神」の意味で、108煩悩bombの歌詞にも登場します。
“十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない”
 という、SF作家アーサー・C・クラークの言葉が引用されたとおり、マジカル・パンチラインという「魔法」と、AIという「科学技術」が高度に交じり合った、意欲的な作品となりました。
 リード曲「私が私を燃やす理由」で特筆すべきは、とうとう落ちサビを小山リーナが担当したことでしょう。「マジック☆ガール」などで目立つソロはありましたが、ここまではっきり見せ場を担当したのは初めてです。彼女をマジパンの歌姫として押し立てていく。そう表明した曲となりました。
 もう一曲「手のひらがえし」にも触れておきましょう。作曲者は池住祥平氏。私立恵比寿中学などに楽曲を提供しているコンポーザーですが、本職はArbusというロックバンドのギタリストです。以前、このArbusでボーカルをしていたのが、シマムラ氏なのでした。バンド時代の盟友との仕事は、シマムラ氏にとっては感慨深かったことでしょう。結果、マジパンでももっともハードロックテイストの楽曲として仕上がりました。

 12月9日には、2ndワンマンライブ「DANCE DANCE ROMANCE PART1」が開催されます。物語性を重視したファーストワンマンとは打って変わって、タイトル通りパフォーマンスをメインにしたばちばちのライブ。メンバーの体力もしっかり持つようになりました。

 翌12月10日は、関西遠征。後々まで贔屓にしてくれる森ノ宮キューズモールベースでのリリースイベントです。もちろん、張り切って参戦しました。
 このとき、毎日更新を続けていたAntS天文夜話が100話を迎え区切りとしていたのですが、浅野さん本人に「続き読みたい?」と尋ねたところ「読みたい!」と返事が来たので、さらに続けることに。
 また、2部では浅野さんがポニーテールで、これがまた制服衣装に合うこと。そのときのツーショットをさらしておきましょう。

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 ワンマンの翌日の大阪遠征、しかも肌寒い中での野外のリリイベであるにも関わらず、メンバーは最後まで頑張って特典会をこなしてくれました。最後、握手まとめ出しを待っている間、沖口さんが残ってくれたファンと「大阪で美味しい食べ物屋さんってなんやろ」というような話をして場を繋いでくれたことをよく覚えています。

 12月20日、2ndシングル「DEUS EX MACHINA」がリリースされ、これまでで最高位、初のトップテン入りとなるオリコンウィークリー10位を獲得することができました。
 そして12月25日、浅野さんがマジカル・パンチラインで迎える二度目の誕生日です。このころ、すっかりドルオタ沼にずぶずぶ入りこんでいた僕は「推しの生誕を祝いたい!」とまたまた強行軍で上京することにしました。
 この日は、二つのイベントがありました。一つ目は、吉本∞ホールでのマジテレ公開収録「ライブ&Xmasはあんちゃん生誕祭SP」です。平日昼間ということで集客が心配でしたが、たくさんの人が集まっていました。ステージにマジテレオープニングのコタツが置かれるというシュールな状況の中、公開収録が行われます。倍速ジャーニーならぬ倍速万里でオタクも一緒に倍速でコールしたり、浅野さんへの誕生日プレゼントということでひまわリーナがスケッチブックに妙な漫画を描いたり(浅野さんの眉毛が大活躍する謎漫画)、さとれな&おっきーがコントをやったり(特にカチコチダンスの浅野さんの真似は大うけでした)と、実に楽しいイベントでした。小山さん、清水さんのサンタコスも可愛かったですし、佐藤・沖口の年長二人のトナカイコスも最高でした。

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 しかし、このとき非常にショッキングなことが。せっかくドレス姿の浅野さんにプレゼントを手渡ししチェキを撮ったのに、次の用事があって慌てていたため、チェキを紛失してしまったのです。今から思い返しても、痛恨の出来事でした。
 二つ目のイベントは、その日の夜、AKIBAカルチャーズ劇場にて、同じ誕生日・同じメンバーカラーでともにポニーキャニオン所属のさんみゅ~新原聖生さんとの合同生誕イベントでした。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 当時、マジパンに次ぐ二推しとしてさんみゅ~を、特に新原さんを推していた自分としては、まさに「俺得」なイベントでした。両グループのライブを楽しめたうえ、二人のデュエットまで聞けたのですから。歌姫・新原さんの貫禄あるパフォーマンスと、フレッシュな浅野さんの伸びやかな歌声は、今思い返してもいいコンビだったと思います。
 しかも、このときだけの特別特典会として、生誕の二人とのスリーショットチェキが実施されることに! まさに自分のための特典会です。しかし、ここで難問が。「推しの前で推しにデレデレしている姿を見られるって、どうなの?!」と。Tシャツやタオルをどっちのグッズにするかも困りました。悩んだ結果出来上がったチェキが、こちら。

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 二人とも応援しています、と告げたうえで、Tシャツはマジパン、タオルは両グループをそれぞれ持ちました。一生忘れられない、思い出に残るチェキです。
 こうして、波乱万丈だったマジカル・パンチラインの2017年は幕を閉じました。


※初めて推しの生誕イベントに参加できたので、この時点でのドルオタ度70%

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