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マジパン思い出話第二回 いよいよ動き出したよマジカル・パンチライン

 マジカル・パンチラインがはじめて動く姿を人前に見せたのは、2016年2月22日の「ぽにきゃん!アイドル倶楽部」でした。マジパンの運営は実質、ポニーキャニオンが引き受けていたので、このあとも「ぽにきゃん!アイドル倶楽部」ではけっこうマジパンは優遇されていたように思います。
 このあたりの話を少し。あくまで推測でしかない、という前提ですが、アイドリング!!!卒業にあたりさとれなは、周りの大人に「アイドル続けたいです!」と言いまくったようです。結果的にそれが引っかかったのが、アイドリング!!!のレコード会社であったポニーキャニオン(で、!!!担当だったシマムラ氏)なのではないかな、と。所属事務所であるBOXコーポレーションは、あくまでタレントを供給している、という立場。このあたりは、AKB48やハコイリムスメに近いものがあります。メンバー選考や衣装、コンセプトなどにさとれながタッチしていて「実質プロデューサー」とも言われていました(特にメンバー選考は、さとれなが主導して決めたようです)。実際は、さとれなが描く「アイドルグループ」を、大人であるシマムラ氏がサポートして実現する、という形でした。この時点では、我らがKマネはほぼタレントマネジメントしかしていません。
 さて、その「ぽにきゃん!アイドル倶楽部」ですが、新メンバーたちの緊張っぷりと初々しさが眩しい眩しい。「新しいものが始まるぞ!」という強烈なワクワク感がありました。特に、小山さんの美少女っぷりがすごかった。誰かがコメントしていましたが「自撮りが上手い子だと思っていたが、ちがう、むしろ自撮りが下手なんだ(それぐらい実物が可愛い)」という表現が、的を射ていたと思います。この動画は各メンバー魅力が溢れていて、未だによく見返します。

 それからもマジパンは、継続してぽにきゃん!アイドル倶楽部に出演を続けました。吉田尚記さんにキャラを掘ってもらったり、ベイビーレイズJAPANのメンバーに妹のように可愛がってもらったりと、非常にありがたい番組でした。特に自分のような地方組の興味をひきつけておく上で、とてもいい番組であったと思います。だいぶ消えてしまいましたが、ネットにまだ少し動画が残っているので、探してみてください。

 その後、3月にはポニーキャニオン本社イベントスペースにて、デビュープレイベントが行われました。初めてファンの前に生の姿を現しましたが、この時点では大阪在住でユルオタでしかない自分は、現場に足を運ぶはずもなく。ちなみに、司会を務めるはずだったシマムラ氏が体調を崩し、急遽Kマネが引き受けたそうです。慣れない仕事でめちゃくちゃ緊張した、という、今では考えられないエピソードも。さとれな推しを中心とした元アイドリング!!!ファンで会場は埋まり、大変盛況だったそうです。
 この段階では絶賛レッスン中で、イベントでもパフォーマンスはありませんでした。ゴールデンウィークのアイドルイベントでも、トークのみ出演。アイドルイベなのにライブをせず、なぜか食レポのようなことだけしにステージに上がるというシュールな状況で(たしかキクチウソウカナイ氏がMC)、佐藤さんのこなれたトークが、どれほど頼りになったか。
 この時期においてもうひとつ触れておくべきなのは、浅野さんのブログでしょう。最初こそ典型的なアイドルブログでしたが、途中からは「ひかりのほうへ」と題し、マジパンのオーディションを受けるところから加入までの裏側を、小説風に書いてくれたのです。当時、浅野さんはプライベートで日記を書いており、それをアレンジしてブログに掲載していたようです。今、自分がこういう文章を書いているのも、思えば「ひかりのほうへ」の影響かもしれません。本当に素敵な文章なので、ぜひ。

 結成からわずか三ヶ月、5月13日には、ニコニコ生放送にて、ミニアルバム「MAGiCAL PUNCHLiNE」でメジャーデビューすることが発表されます。しかも、楽曲プロデュースは、「けいおん!」も手がけたTom-H@ck氏。佐藤麗奈というスターがいたこと、ポニーキャニオンという大手レコード会社が運営することから、かなり恵まれたスタートであったと言っていいでしょう。
 マジパンの初めての人前でのパフォーマンスは、5月28日、渋谷マルイ屋上でのリリースイベントでした(マジパンの聖地のひとつと言えるでしょう)。当時は歌える曲が少なくて、Magiかよ!? BiliBili☆パンチライン→万理一空Rising Fire!→Magiかよ!? BiliBili☆パンチラインというセトリでした。もちろん自分はそれを、ネットでの評判でしか知りません。

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 初めてマジパンのパフォーマンスがネットで配信されたのが、6月19日のMARQUEEのイベントでした。自分も、初めてマジパンのライブを見ました。
 で、その感想ですが、率直に言って「ヤバかった」です。
 悪い意味で。
 正直、これでお金をとるのはマズイだろう、というレベルのパフォーマンスでした。今では歌姫である小山さんも、当時は声量が全然なくて、音程こそ合っているものの、ちっとも声が聞こえてきません。踊りながら歌う体力がなかった、ということもあるでしょう。反対に浅野さんは、声量こそあるもののその出力がバラバラ。調子がいいとガーンと出るんですが、自信がないパートではしゅーんとしてしまう。ダンスもただただ必死で、動きも表情も余裕がない。
 清水さんは、歌もダンスもへにゃへにゃで芯がありません。ダンスでは長い手足をもてあましているし、声質のせいもあるのですが、声が通らない。一番ヤバかったのが、沖口さんでした。ダンスはリズム感ゼロ、歌はもう音程があっているところを探すほうが難しいぐらい、ふらふら。表情もずっと自信なさげ。決して歌がうまいわけではない佐藤さんが、こなれたベテランとして安定してパフォーマンスをしてくれているからかろうじてライブとして成り立っている、という状態でした。
 これには仕方がない面もあって、ひとつはとにかく佐藤さんが、ビジュアル重視でメンバーを選んだということ。ダンスや歌が達者なメンバーを選ぶ手もあったと思いますが、そういうのはあとからでもなんとかなる!とにかく顔面!というメンバーチョイスでした(結果的に、正しい選択だったとは思います)。未経験のメンバーばかりですから、クオリティーが低いのも当然です。
 もうひとつは、マジパンの楽曲が難しすぎたこと。歌詞詰め込みで曲のテンポが速く、ダンスも個性的で、フォーメーションも複雑。はっきり言って、未経験者がやるレベルではありませんでした。しかし、その難しい楽曲を歌いこなすことでメンバーがどんどん成長していったので、これもまた結果としてはまちがいではなかったと思っています。
 ただそういった分析は、今だからできる話。当時は「これ、この先大丈夫かいな」と非常に不安を覚えるパフォーマンスでした。
 そういうマジカル・パンチラインも、リリースと夏フェスを経て、大きく成長していきます。という話は、また次回。


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