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『 わたしはわたしのままでいい 』

主人公の名は、あかり。ワクワク好き、本好きな女性。ある日、新たな本を求めて書店に入ったあかりは、なんとなく背表紙が光って見える本を見つけた。「アカシャの書」?「そういえば、何かで見たな。たしか、過去生のこととか、自分とつながりの深い星のことを知ることができる本が出たって。これかぁ。」あかりはワクワクして本を購入した。実はとても気になっていた内容だったから。

 あかりは最近よく同じ夢を見ていた。まるで宝石をちりばめたような宇宙の夢。書斎に入り、早速本を手にすると、表紙には、『本を読む前に、以下の言葉を3回唱えてください。』ふ~んと思いながら、あかりは、そこに書かれた呪文のような言葉を3回唱えた。
「コディーシャ、コディーシャ、アドナイ、ツベヤオ」
「コディーシャ、コディーシャ、アドナイ、ツベヤオ」
「コディーシャ、コディーシャ、アドナイ、ツベヤオ」
すると「いつもありがとう。わたしは幸せです」という言葉が思い浮かんだ。「いつもありがとう。わたしは幸せです。」「そうかぁ。そうね。」なにか納得できたあかりは、早速ページをめくった。

1章は地球。あらためて地球のことを知るのは楽しかった。どんどん引き込まれて、ふと気づくと、あかりは地球の外から地球を眺めていたが「美しい!」と感動した瞬間、また目の前は本のページに戻っていた。

 あまり気に留めることもなく、2章へ進んだ。2章は月。月も好きだな、と思いながら、新鮮な気持ちで月の話を読んでいくと、やはりどんどん引き込まれていった。そしてふと気づくと、目の前に大きな満月が二つ並んでいる。「月が二つある!!」目をこすってみてもやっぱり二つだ。不思議だけど贅沢でいいかも、なんて感動していたら、次の瞬間にはまた本のページに戻っていた。

 「不思議体験のおまけ付きですか?楽しすぎます。」と思いながら3章太陽へ進んだ。あかりは太陽が大好きだ。元気がでるから。大好きな太陽の話ももちろんあっという間に引き込まれていった。ふと気づくと目の前に小さな輝くボールが浮いている。なんだろうと手のひらに乗せてみると、今読んだばかりの太陽にそっくりだ。「愛おしい!!」と思わずつぶやくと、次の瞬間再び本のページへ戻っていた。

 ワクワクドキドキしながら、今のあなたと一番つながりの強い星と書かれた4章へ進むと、「その星で魂はテーマを決め、生まれ変わりつつ、そのテーマを引き継いできていて、その星の名前は“プレアデス”」と書かれていた。あかりは「私は地球人じゃないのかしら?」と思いながら内容を読み進めると、とても心地よい気分になってきて、部屋中には白いふわふわの玉がたくさん浮いていた。なんともいえない懐かしさを感じて一瞬気が遠のいたような気がしたが、目を覚ますと元の書斎だった。

 なかなかボリュームのある本だと思ったけど、サクサク読めると喜びながら、次の5章宇宙を開いた。「あなたは宇宙です。宇宙全体があなたです。」という大きな太文字の文章のあとには、その内容について、文字だけでなく、絵や記号やシンボルなど様々な見せ方で説明されていた。その鮮やかで美しいページをじっくり眺めていると、あかりはひとり静かな真っ暗闇の中にいた。暗闇だけど恐ろしさは感じない。不思議な安心感じを味わいながらまぶたを閉じると、また明るい部屋で本を読んでいた。

 そして最後の6章。6章には「あなたは地球を選んできました。地球でのあなたの物語をどんな物語にしたいですか。」と書かれているだけで、残りは真っ白なページばかりだった。特殊な印刷かな、などと思いながらその真っ白なページを眺めていると、「第6章は、これから、あなた⾃⾝が書いていくのです。あなたの望む物語を、あなたは⾃由に書くことができます。あなたは、地球でのあなたの物語を、どんな物語にしたいですか? どんな物語を、あなたは望みますか?」という声がした。あかりは、びっくりしてあたりを見回したが誰もいない。ふ~んと思いながらも、自分の住みたい地球を思い描いてみることにした。「生き生きした自然に溢れた地球で、誰もが、思っただけでどこにでも行けて、なんでも手に入れることができる。地球上の人類以外の動植物とも意思疎通ができる。そして、ただ生まれ、生きて、希望する期間だけ過ごすことができる。なんていいな」と、早速記入し始めた。

しかし、どうやっても白いページに文字を書き込むことが出来なかった。すると「この章は、いま、地球で⽣活しているあなたが、地球でのあなたの物語を、実際に⽣きていくことによって⾃動的に綴られていきます。あなたが⽇々の⽣活を活き活きと実際に⽣きていくことによって書き込まれていきます。どうぞ、貴⽅の望む物語を、この地球で、実現していってください。」という声が聞こえた。その声を聞いて本を閉じたあかりは、しばらく本の余韻を味わっていたが、ふとたちあがり、外に出た。

 その後のあかりは、見違えるように笑顔が増え、あらゆるものに優しくなった。臆することなく挑戦し、美しいオーラに包まれたあかりは、心地よい幸せいっぱいのエネルギーを放っていた。そしてあかりのまわりには、あかりのような笑顔のすてきな美しいオーラをまとった人々が増えていった。

おしまい

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