ゆすり屋

「私はプロのゆすり屋です」と彼は言った。「私は実に秒速2765回の超高速で相手を揺することができます」
 私はその仕事ぶりを実際に見せてもらったことがある。彼は相手の両肩に手を置いたかと思った次の瞬間、信じられない芸当を涼しい顔でやってのけた。揺すられた人間は輪郭だけでなく全てがぼやけて向こうが透けてしまうのではないかと思うほど小刻みに激しく振動した。
「こんなことは何でもありません」と彼は腕だけを振動させながら言った。「何日だって続けられますよ」
 彼にゆすられた人間は例外なく言う通りに条件を飲まされるという話だった。
「君だけは敵にまわしたくないね」と私は言った。
「みんなそう言いますよ」
「本当に君がこちら側でよかった」
「いつでも準備はできてますよ」と彼はまた腕だけを振動させながら嬉しそうに笑った。

もしよければお買い上げいただければ幸いです。今後のお店の増資、増築費用にします。