ペンギンの素

「丸山さんがまたペンギンの素をくれたのよ」と妻が言った。
「ええ? また?」と私は絞り出すようにして叫んだ。「もういいよペンギンの素は。どうするんだよこれ以上」
「仕方ないでしょう付き合いもあるんだから」
「もうベランダも一杯じゃないか。どこに置くんだよ」
「だったらあなたが直接断ってよ。できもしないくせに」
 これ以上言っても喧嘩になるだけなので、私はそこで口をつぐんだ。
「ここに置いておくから」と妻は言った。
 そんなの自分でやってくれよ、と私は言いたかったけれど、喧嘩になるだけなので我慢した。
「ねえ、聞いてるの?」と妻が言った。
「聞いてるよ」と私は言った。「あとでやる」
「だめにならないうちに早めにやってよ」と妻は言った。「傷みやすいんだからね」
「わかったよ」
 そんなわけで今週も私の日曜日はペンギンづくりで終わっていくのだった。

もしよければお買い上げいただければ幸いです。今後のお店の増資、増築費用にします。