路上日記 その㉓ 柿ピー電波野郎 ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)
17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。
今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。
その㉓ 柿ピー電波野郎
空中に向かって柿ピーを投げつける見るからにヤバイ男、それが柿ピー電波野郎だ。
地元駅に突如として現れ、その後、二度と姿を見ていない。
年齢は30前後だろうか。派手めのシャツを着て、ボサボサの髪をしていたような気がする。
動きを追っていると、知り合いの路上ミュージシャンに近付き、獲物を見つけたとばかりに絡みはじめた。
後日、そのミュージシャンから聞いた話では「お前らが悪いやつだって言われたんだよ」と完全に電波発言を繰り返していたらしい。
そして、その場に正座をさせられ、説教をされたという。
正座させられた様子に関してはリアルタイムで見ていたので僕もよく覚えている。
時間にして5~10分くらいだろうか。
柿ピー電波野郎は駅へと向かって歩きだした。
それを見て僕は肝を冷やした。
というのも、彼が駅に向かう道の途中に僕がいたからである。
すました顔で「どうなるどうなる?」と思っていると、運良く素通りしていってくれた。
そんなわけで僕は柿ピーを投げつけられることはなかったわけだが危ないところだった。
ところで、電波野郎とは言ったものの僕自身も気付いていないだけで誰かの命令や意思で動いてしまっているのかもしれない。
柿ピー電波野郎の存在はそんなことを考えさせてくれた。
ひとまず、僕の大好きな「X-ファイル」というTVドラマの言葉で締めくくらせてもらおう。
「THE TRUTH IS OUT THERE(真実はそこにある)」
~答えは風に吹かれている~
(Bob Dylan「Blowin' in the Wind」より)
今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。
路上ミュージシャン hiro’
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