投げ銭のお願い-

路上日記 その⑱ 切れた犬 ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。


その⑱ 切れた犬

路上にいて危険なのは輩だけではない。

別件だが、バイクに乗っていて風で目が痛くなった為ゴーグルをしていた時、道路標識がよく見えず道路を逆走してしまったことがあった。
その時に拡声器を使ったような大きな声で「そこのバイク、止まれ!オラァ!!」というようなことを言われたのだ。
かなり昔なので記憶が定かではないが、「止まりなさい」とは100%言われなかった。
だから僕は「何かヤバイ人を怒らせてしまった!」としか思わなかった。
蓋を開けてみれば..、という話である。

さて、今回の話で語られる「切れた犬」がやってきたのは、草木も眠る丑三つ時の路上だ。
彼は僕の目の前に辿り着く前にすでに吠えていた。

自己弁護するわけではないが僕は凶悪犯罪者でもなければ、その予備軍ですらない。
もちろん、現行法に照らし合わせれば、その夜に僕がいた現場(つまり路上)において褒められることをしているわけではないのはわかっている。

だが、名誉毀損で訴えれば完全勝訴なんじゃないの、っていうくらい彼は怒鳴り続けていた。
普段は優しい犬にしか出会わないので、きっと切れた犬ははぐれものなのだろう。
当たり前の事だが服装だけで人を量ることなど出来ない。
ゲームでお馴染みの人狼のように、人の皮をかぶった狼も存在する。

今、日本の何処かで切れた犬が、この夜の暴言のように銃弾を放っていないことを切に願う。

~ワンワンワワン ワンワンワワン~
(童謡「いぬのおまわりさん」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

ここから先は

0字

¥ 500

ギターの弦から音楽機材まで必要なものは"ほぼ"無限! 気に入ったらサポートしていただけるとありがたいです! よろしくお願い致します!