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路上日記 その㉔ ボンボンガール ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。


その㉔ ボンボンガール

ファンはとてもありがたい存在である。
しかし、時にやっかいな存在になることもある。

今回はそんな話。

ボンボンガールとは、S駅で3人組ユニットで路上ライブをしている時に知り合った女性である。
15年前は可愛かったんじゃないかなという雰囲気。
年齢は30代半ばくらいに見えた。がっしりとした体格で短く切った黒い髪、そして、ジーパンにTシャツを着ていたと思う。
劇団に関わっているとかなんとか言ってたが真偽の程は定かではない。

とあるコンテスト形式のホールライブの数日前にも路上ライブに来てくれた。
「ホールライブ行きますね」の後に、ボンボンがどうのとか言っていたような気はするが聞き流してしまっていた。
するとライブ当日、彼女はチアガールよろしくカラフルなボンボンを持って客席の一番前に陣取っていたのだ。

一応断っておくと、ボンボンを振って盛り上げている様子が似合うような音楽はやっていなかった。

ライブをどう楽しむかは自由とはいえ、ワンマンでもない為、別のミュージシャンのファンも多数いる。
「ファンが目立っていたバンドということで注目されよう!」とは当然ならなかった。
良い意味ではなく注目されてしまう可能性が高いからだ。

そこで、バンドのスタッフになんとかボンボンを振らせないようにしてくれと頼む。
しかし、ボンボンガールの決意は固く、スタッフの制止を振り切り、最前列の席で立ち上がるとボンボンを振って誰よりも盛り上がっていた。
結果的に、うちのバンドのドラマーが最優秀ドラマー賞をとったが、ボンボンガールを踊らせたから、ではないと思う。

ミュージシャンとファンという関係性であっても意思の疎通というのは難しいものである。
ただ、この気持ちだけは改めて書いておきたい。
ありがとう、ボンボンガール。

~出してしまえばいいの 全然しないの つまらないでしょ~
(きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

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