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路上日記 その㉘ パーフェクトドランクヒューマン ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。


その㉘ パーフェクトドランクヒューマン

いつものように路上ライブをしていた僕。

そこに真顔でフラフラと近付いてくる長身の男。それがパーフェクトドランクヒューマンである。
ダルダルのTシャツ、ボサボサの髪、どこか挙動不審..。

シンガーソングライターが刺されるというショッキングな事件からもまだ日が浅かったので、多少身構えた。
だが、何もしてくることはなかった。

1曲歌い終え話しかけると、非常に酔っ払っているだけで危害を加えようとしてくる危険な人ではないことがわかった。


しかし、距離感がおかしいのだ。
大抵の人は数メートル(~十数メートル)離れて歌を聴いてくれるのだが、そのヒューマンは近すぎる。

僕が少し身を乗り出せば、キス出来るんじゃないかという距離なのである。

ギターとか譜面台とかで怪我をするかもしれないので、「少し下がってくださいね」とお願いをする。

そして、次曲を歌い出す。


..歌っている最中にそれは起こった。

自身の体を制御できないからであろうが、立ちの姿勢で上半身だけを前に突き出すヒューマン。
さらに、バランスを取るためか両手を大きく広げるヒューマン。

そう。
まさに『PERFECT HUMAN』における「We live in Tokyo」状態になっていたのである。
どうでもいいことだが、live at Kanagawaの話である。


..その後、誰の目からもヒューマンは過度に酔っぱらっていたので、通行人の若者達から嘲笑された。
すると若者達の背中に向け、「かかってこいよ」的なことを怒鳴りだしたのだ。

やっぱり危険な人だった~!と思ったけれども、その怒りを上手く治めるとけっこう打ち解けて僕のCDも持っていってくれた。


あなたの街で、首を傾げるような特徴的なポーズが含まれるダンスをしている男がいたとしたら..。
それはパーフェクトドランクヒューマンで、かかっている曲は僕の曲かもしれない..。


~時は来た彼こそ真の支配者 彼の前にひざまずくのは敗者~
(RADIO FISH「PERFECT HUMAN」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

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