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路上日記 その⑲ タイムトラベラー師弟(番外編) ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人達の話をしようと思う。


その⑲ タイムトラベラー師弟(番外編)

路上ライブ前にY楽器店で出会ったのが、この二人。
旅芸人とその弟子という感じで、服装、話し方、醸し出す雰囲気、その全てが現代的ではなかった。
かなり異質。まさにタイムトラベラー師弟だ。
師匠は、4、50歳、弟子は10歳前後に見えたが、なにしろ全て現代的でないので正確なところはわからない。

弟子に対して訳知り顔で師匠が何か教えていたりもしていたけど、どこか滑稽に見えたのも現代的ではないからだろうか。
その後、店員に師匠が何か尋ねるんだけど、ほぼ無視という邪険な対応をされていた。
例えるなら、それは浮浪者に対する態度のようだった。

見た目で人を判断するなと言われ育ってきたが、現実は見た目で判断される。
僕自身、金髪・カラコン・ピアスの過去と、黒髪・メガネの今では人の対応は全然違う。
そして、時代や場所に合った身だしなみというものがある。
ドレスコードとまでいかなくても、暗黙の了解というものが存在する。

今思えば、同じミュージシャン同士、タイムトラベラー師弟に話しかけてみたかった。
とはいえ、僕がタイムトラベル可能であの日に戻れたとしても、結局、声はかけないだろう。
理由はないが、そんな気がする。

今頃は、弟子も一人立ちして活動しているのだろうか。
自分を再確認する意味でも、いつか僕も弟子をとりたい。
日々、精進。

~私は今日まで生きてみました そして今思っています 明日からもこうして生きていくだろうと~
(吉田拓郎「今日までそして明日から」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

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