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路上日記 その㉕ 最速最小オーディエンス ~変人・奇人・狂人ファイル~ (全文無料)

17歳から路上ライブを始めた。
昼間や夕方にやることもあったけど、大抵は夜。
夜中ともなれば、終電をなくした人、水商売の人、道を極めてる人、酔っぱらいに、怪しい人、色んな人が僕の前を通り過ぎ、時に僕の前に立ち止まった。

今日はそこで出会った人(?)達の話をしようと思う。


その㉕ 最速最小オーディエンス

これは最近のお話。

お馴染みのS駅で歌っていた時の事だ。
その日は音楽仲間と二人で路上ライブをしていた。

二人でやっていたと言っても一緒に歌っていたわけではなく交互に歌っていただけである。
一人でやると孤独な状態になりがちなので、二人で集まって始めたわけだ。

さて、一人ではないとはいえ、客は皆無。
何曲歌っても誰も止まらず、「二人ぼっち状態」の僕らの前に現れたのが最速最小オーディエンスGだ。

黒光るフォルムの彼は僕らの歌に吸い寄せられるように近付いてきた(気がする)。
嬉しい悲鳴..ではなく、単なる悲鳴が路上にこだましたのは言うまでもない。

いや、しかしながら子供の時はあんなに虫好きだったのに、大人になるとこんなにも苦手になってしまうのは退化と言えるのかもしれない。

数億年前からこの地球にいる彼らに、人間が支配される日がそう遠くない未来に訪れるのかもしれない。
その時その世界に響く音楽は、果たしてどんな音楽なのだろうか?

~僕は一体ここで何をやっているんだ? ここは僕の居場所じゃないのに~(Radiohead「Creep」より)


今回、話してきたことは全て実話であるが、思い出しながら書いている為、細部まで正確ではないことを最後に付け加えておきたい。
そして、僕自身ももちろん奇人・変人・狂人であるが、そんな僕の話はまた別の機会に。

路上ミュージシャン hiro’

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