【アイドリッシュセブン】推しと乗り越えた大学受験
※これは約2年前に書いた記事の再公開です。
つい先日、私の1年間に及ぶ戦いが終わった。大学受験だ。今年はセンター試験の廃止に、新型コロナウイルスが流行した影響も相まって、イレギュラーづくめの受験生活だった。共通テストへの移行は不十分で、記述になるはずだった形式も結局マークシートのままとなり、大学ごとにその利用方法も様々。後述するが、とにかく複雑だった。経験した人もいないため、先生に相談しても明確なことはわからなかったのだ。
そんな不安だらけの生活を乗り越えられたのは、推しという心の拠り所があったからだと私は考えている。いや、絶対にそうだ。受験生とはあらゆる欲望から自らを律して勉学に励むべき者だと思っていたが、違う。好きなアニメやドラマを我慢しなければいけないことや、TwitterやYouTubeからログアウトしなければいけないことなどないのだ。
前置きが長くなったが、なぜ私がこのように考えるようになったかを述べようと思う。なお、あくまで一個人の考えであり、すべての人に当てはまることではないこと、この記事による影響で生じた不利益などの一切の責任を筆者は負わないことを念頭に置いたうえで読み進めてほしい。
病床で運命の出会い
比較的成績が良かった私は、推薦入試に出願することを決めた。そしてアドバンテージを増やすため、弁論大会に出場することにした。文章を書くことは得意だったため、私は2度の予選を首位で勝ち進み、全国大会への出場を決めた。ところが8月某日の本番は体調を崩し、棄権してしまった。微熱だったのだが、如何せん声が出ない。出場は諦めざるを得なかった。倦怠感もひどく何をするにも億劫だったが、ただひたすらベッドで横になっていたわけではない。ただ、開いたのは単語帳でもノートでもなくU-NEXTだった。そして、アイドリッシュセブンを見た。なぜアイナナを選んだのかと言われても、説明できない。もともとアイカツなど女の子のアイドルものは好きだったが、アイドル本人から恋愛感情を寄せられることの多い男性のものはむしろ苦手だった。だが、久しぶりに会った中学時代の親友(趣味嗜好がほぼ同じ)があんさんぶるスターズにはまっていたこともあり、少なからず興味はあった。そして見事に沼った。運命の出会いだった。人生で初めての「推し」ができたと同時に、自分との戦いが始まった。
まず、アイドリッシュセブンはアプリゲームだ。この事実を知った私は、受験が終わるまでアプリのインストールは何があってもしないと決めた。スマホにゲームの類を何ひとつ入れたことがなかったため、インストール後の自分が全く想像できず、自制できる自信がなかったのだ。
その一方で、自分を甘やかしもした。アイドリッシュセブンにはまった当時は9月で、ちょうどアニメの第2期が日曜日の23時に放送されていた。これのリアタイ視聴はOKとした。第2期に続くストーリーはYoutubeの実況を聞き流して履修した。音楽のサブスクにも加入して曲を聴きまくった。加えて、Twitterでの情報収集も可とした。勉強の合間に、タイムラインに流れてくる美麗なイラストや素敵な漫画や小説を拝見して楽しんでいた。ただ、5周年イベントの開催がTwitterで発表されたときは本当につらかった。
これに関しては、何もかものタイミングが絶妙だった。整理してみる。
合格すればイベントの応募ができる、と自らを鼓舞して挑んだ推薦入試は不合格で、誰でも見られるものを見られない悔しさといったらなかった。だが、頑張った自分へのご褒美と銘打って、5周年イベントのグッズは注文した。これが届く5月に、志望校で推し活と大学生活を謳歌する自分を想像しては励まされていた。推しという存在の強さを実感した。
挫折と『In the meantime』
前述した通り、私は推薦入試を受け、落ちた。推薦入試を受験するためにこなすべき課題や対策すべき事柄はとにかく大変だった。
事前課題の完成には3か月はかけた。課題レポートのうちひとつは古文の物語を読んで書けという指示だったため、まず700ページ余りを読むことに5日かかった。先生とのオンライン授業では厳しいことを言われ続け、泣いた日も少なくなかった。だがかなり頑張った。精一杯やった。それでも不合格になってしまった。同級生が合格を手にする中、悲しみと悔しさ、そして羨ましさに押しつぶされそうになっていた私を救ってくれたのは、やはりアイドリッシュセブンだった。
ひとりで家路を歩いていたとき、イヤホンから流れてきたのはアイドリッシュセブンに登場するアイドルグループ・TRIGGERの『In the meantime』だった。
路上で泣いてしまうかと思った。TRIGGERはこの曲を歌う以前に、とある組織の陰謀によって芸能界での活動が出来なくなってしまっていた。大きな事務所から華々しくデビューし、第一線で活躍してきたグループだったのに、だ。そんな逆境の中でも、TRIGGERの3人は前を向いていた。自分の道を、いつも通り進めばいい。見たい景色を、仲間と一緒に見られる日は必ず来ると信じろ。俺たちは信じている!
揺らぐことのない強い思いが顕れた3人の歌声に、どれだけ救われたか。TRIGGERのこの歌がなければ、気持ちを切り替えることができなかったに違いない。ありがとうTRIGGER。「大好きだよ」。
E判定と『太陽のEsperanza』
もちろん、推薦入試の対策と並行して一般入試のための模試も受けていた。
高校1年生のとき、精神的に不安定になり机に向かえなかった時期が半年ほどあったが、浪人は避けたい、できるだけハイレベルの大学に進学したいと思っていたため、毎日8時間は受験勉強をしていた。
こんな具合に文字で埋め尽くされたノートは最終的に17冊できた。アイドリッシュセブンだな、と気づいて少し嬉しくなった。
ところが、受験は甘くない。模試の結果が芳しくなかったのだ。むしろ悪かった。12月上旬の最終回さえ、どの志望大学でも合格判定でE以外を出せなかった。当然だが私は焦る。いくら塾での世界史の通史が終わったのが模試の3日前だったからといって、本番はすぐそこだ。甘ったれたことは言っていられない。このまま成績を上げられなかったら、お世話になっている先生や親に顔向けできない。そんなとき、シャッフル再生で流れてきたのは、TRIGGERと同じくアイドリッシュセブンに登場するアイドルグループ・Re:valeの『太陽のEsperanza』だった。
これは作中で、Re:valeがTRIGGERを芸能界から追放した組織へ向けた挑発の一曲だ。ストーリー上でこの曲が流れた時、それは間違いなくTRIGGERが再起への一歩を踏み出した瞬間だった。
また、“Esperanza”にはスペイン語で”希望”という意味がある。「E判定のEはEsperanzaのE」。そう考えると、自然と机に向かう力が湧いてきた。
勝負の1か月と『ŹOOĻ』
ついに模試の日程も完遂し、本番まで1か月を切った。このあたりから、塾で出された宿題をやり終えた後の全時間を苦手な世界史の問題演習に費やすようになった。2週間もたつと、過去問演習の点数に成果が現れ始め、7割を超えるようになって安心していた。聡明なシャッフル再生はこんな私の気の緩みを見かねたらしい。聴こえてきたのは、同様にアイドリッシュセブンに登場する、ŹOOĻの『ZONE OF OVERLAP』だった。
ŹOOĻの、アイドル生命をかけた革命の一曲。これまではコーラスのみで参加していたメンバーにもメインパートが振り分けられている。4人全員で歌わなければ完成しない曲はŹOOĻにとって初だった。
現状に満足するな、もっと上を目指せ。ŹOOĻの熱い想いは、慢心していた私に突き刺さった。そうだ。こんな場所で終わる様な気質じゃない。受験はまだ終わっていない、私はまだ頑張れる。
そんな私の想いとは裏腹に、志望校を下げるべきだと言う人物もいた。母だ。せっかく気持ちを切り替えた私にも、不安そうな母の表情を見ると迷いが生じてきてしまった。その迷いを吹っ切れたのも、ŹOOĻ覚醒の一曲『Bang!Bang!Bang!』のおかげだ。
私は、アイドリッシュセブンに登場するアイドルグループの中ではŹOOĻが一番好きだ。過去に大きな挫折を経験していたり、自らの理想と現実の乖離に悩んだりして心を歪めてしまった4人がぶつかり合いながら、ŹOOĻというグループを作り上げた。この過程が、彼らをリアルにしている。辛い過去に苛まれ葛藤しつつも、不器用に乗り越え進んでいくŹOOĻ。彼らの人間らしさが、私の心に染み渡ったのをはっきりと感じた。私は最後まで志望校を変えることはなかった。
一般入試と『アイハケ!』
一般入試を大きく分けると、共通テストのみを使用する「共通テスト利用入試」、共通テストと大学独自の学科試験を併用する「共通テスト・学科試験併用入試」の二つになる。しかし、決して単純ではない。大学によって名称は変わる(A方式と一口に言っても中身が違ったりする)し、受験に必要な科目は変わるし、ここに英検などの外部検定試験が入ってくる。実際に受験した大学の入試方式でさえ、上手く説明できる気がしない。無理だ。
本番の共通テストは、模試と比較すると一番の出来だった。それまでは50点も取れなかった苦手な世界史で7割を取り、問題量の多さが懸念材料だった英語は8割を超えた。先生方はすごく喜んでくださって、それが本当に嬉しかった。ところが、喜びもつかの間、私に試練が降りかかった。
大事な試験の間に、大好きな推し・和泉一織くんのお誕生日があったのだ。なぜよりによってこの期間に...と思ったが、冬生まれの一織くんがすき(意味不明)なので仕方ない。
この事実に気づいた当初はそれまでと変わらずに勉強していたのだが、この告知ツイートで一瞬「受験が終わるまでアプリのインストールはしない」という決意が揺らいだ。
どうしよう。かわいい。ただでさえかわいいのに、こんなどタイプな表情をされてしまったために危うくインストールしてしまうところだった。だが、それを思いとどまれたのも(支離滅裂だが)彼のおかげだ。
作中、彼は自身をパーフェクト高校生と称して、アイドル活動と高校生活を両立している。生まれ持った能力が高いだけでなく、努力も怠らないため、歌やダンスも上手く、学校の成績も良い。個人的に、一織くんは早慶辺りの大学に現役で進学できると思っている。おそらく学部は未来のIDOLiSH7のために経営か、話題性のために法、またはなんとなく理系っぽいので医か理だろうか。七瀬さんのために医を選ぶ一織くん、良すぎる。
話がそれてしまったが、そんなパーフェクトな一織くんの前で中途半端なことは到底できなかった。そのため、私は本当に我慢した。誕生日企画の一環で、この期間に毎日一織くんからのツイートがタイムラインに流れていたことも自制する力になっていたと思う。
この企画、冗談抜きで生きる活力になりまくったので、365日やってほしい。大神万理さん、よろしくお願いします。次こそお弁当の写真ください。
受験番号と『WiSH VOYAGE』
私大の受験期間に、私がお守り代わりにしていたものがふたつある。ひとつ目は受験番号だ。アイドリッシュセブンに登場する主要な人物の名前には、必ず数字が入っている。受験当日に番号を確認しては、気分を上げていた。1が含まれていたら(一織くんなので)言うまでもないが、7なら「国語がよくできそう(陸くんは読書家のため)」と思ったし、9なら天くんが見ているような気がして自然と背筋が伸びた。
そしてふたつ目は『WiSH VOYAGE』というIDOLiSH7の曲だ。試験が終わった後にひとりで駅に向かう途中、必ず聴いていた。
あふれんばかりの未来への希望。試験で失敗した日にも不思議と前を向けた。特にMVの35秒あたりで歌わずにキメ顔をしているピタゴラの3人を見ると元気になるし、ヘアアレンジをしている環くんは優勝。壮五さんと一織くんは衣装も相まって王子様みたいだし、陸くんは圧倒的センターで訴求力が爆発している。3分半のMVでありえないくらいの活力が湧いてくる。
不合格だったら、浪人したらどうしよう、などと些細なミスひとつで悪い方向に考えてしまう私だったが、待っている未来はきっと素敵なものだと確信できた。
まとめ
「辛いこともあったけれど、アイドリッシュセブンのおかげで励まされました」という記事を書きたかったはずなのに、いざ書き起こしてみるとアイナナに苦しめられていたことも多々あって笑ってしまった。アイドリッシュセブンの容赦なさは侮れない。
だが、アイドリッシュセブンとの出会いがなければ受験を乗り越えられなかったと自信を持って言えることは確かだ。一生懸命頑張りたいことに一緒に立ち向かえる推しがいることは幸せなことだと思う。
5000字くらいで終わるはずだったのに、7000字近く書いてしまった。ここまで読んでくださった方がいるかはわからないけれど、お付き合いいただきありがとうございました。アニナナ3期、乗り越えましょう。
楽曲の出典
記事内の歌詞は全て歌ネットの表記を参照している。
以下は記事内で紹介した楽曲のクレジット(敬称略)とMVだ。もし未視聴であれば、ぜひ聴いてほしい。
In the meantime
作詞:結城アイラ 作曲:GRP・Shun Kusakawa 歌:TRIGGER
太陽のEsperanza
作詞:結城アイラ 作曲:渡邉俊彦 歌:Re:vale
ZONE OF OVERLAP
作詞:結城アイラ 作曲:YASUSHI WATANABE 歌:ŹOOĻ
Bang!Bang!Bang!
作詞:浦島健太 作曲:徳田光希 歌:ŹOOĻ
WiSH VOYAGE
作詞:真崎エリカ 作曲:kz 歌:IDOLiSH7
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