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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#人形

【取材した怪談198】小指

某アニメが大好きなC君は、そのアニメキャラクターのフィギュアを数多く所有している。棚に整然と並べた人形達を、しげしげと眺めるのが日課だ。 コレクションの中で特にお気に入りなのは、全長三十センチ程度のポリ塩化ビニル製の人形。細部まで精巧に作製されていて値が張る一品ということもあり、とても大切に扱っていた。 ある夜、自室のベッドで寝ているとぱちりと目が覚めた。目は開いているが身体を動かせない。ただそれ自体は以前にも何回か経験しており、それほど慌てはしなかった。 ところがその後

【取材した怪談話156】メアリー

理香さんは、フランス人形を九体所持している。うち八体は自身で購入したものだが、一体だけは貰い物だ。 彼女が小学生低学年のころ、離れて暮らす祖母から一体のフランス人形が送られてきた。特に理香さんや両親が頼んだわけではなく、事前に連絡もなく自宅に送られてきたそうだ。その当時で新品だったか否かは不明である。 その人形は、体長が約三十センチメートル。ベージュのハット。胸ぐらいまでの長さのブロンドの巻き髪。小ぶりの黒い瞳。クラシック調のベージュの洋服。 その人形を猛烈に忌避したの

【取材した怪談話155】共犯

理香さんは、フランス人形を九体所持している。ひとりひとりに名前を付けており、毎日の手入れを欠かさない。人形と触れ合う時間は、何物にも変え難い至福の時だ。 これらの人形は、五段のコレクションケースの中で保管されている。下から一段目に一体、下から二段目から五段目まではそれぞれ二体ずつ並べて配置していた。配置は固定していた。段ごとにガラス戸が設けられている。以下の図参照、〇は人形を指す。 常にケースを閉め切ったままだと人形が可哀想だと思い、昼間はケースのガラス戸を少し開けて空気

【怪談実話102】エリちゃん

女性Tさんは10歳の時、母方の伯母から一体の西洋人形を譲り受けた。 「もともとは、伯母が娘さんに買ってあげたものだそうです。娘さんは社会人になって家を離れており、私に譲ってくれました」 その人形は、身長60~70センチの〈何処かの国のお嬢さま〉だった。 長めのリボンがセットされ、緩いパーマが施されたツインテールの栗毛の髪。ベロア生地のワインレッドのワンピース。フリル付きの白シャツ。ピアノの発表会で履くような可愛いエナメルの靴。フリル付きの靴下。 「スリープアイ」式の人

【実話怪談69】訴え

「長らく放っておいた人型の物には魂が宿っているかもしれないので、捨てる時にはご注意を」 そう戒めるのは、エステサロンを経営する女性Rさんだ。 彼女がサロンを開業するにあたり、知人が経営する美容院の2階を借りることになった。当時、2階は物置部屋として使われていたため、開業前に知人と一緒に片付けをしたそうだ。 片付け当日、ふたりでゴミの分別や掃除に勤しんだ。 物置部屋には、業務用の備品やカタログなどの資料の他、美容院に特有の物品が保管されていた。 マネキンである。 ヘアカ