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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#家

【取材した怪談243】焦る座敷童子

「私の実家、事故物件かもしれません」 そう切り出したのは二十代女性Aさん。 彼女の実家は古く特殊な構造の二階建てで、契約上の理由から二階部分は使えないことになっている。清掃などの管理をするために二階に行くことはでき、二階は普段は無人である。 「私は夜あまり眠れなくて、睡眠時間は3から4時間ほどでしたね。私が10歳ぐらいの頃、一階の私の部屋の真上から子供の声が聞こえてくることがありました」 彼女の部屋の真上は二階の和室で、夜11時から2時ぐらいにかけて男児と女児の笑い声、

【取材した怪談216】通行の妨げ?

島根県某市にお住まいの五十代男性・福間さんから伺った話。 十年以上前のある夜、彼は自宅一軒家の二階の和室で敷布団を敷いて就寝していた。 「寝ちょったら、いきなり誰かに敷布団ごと下にズラされたに。すごい勢いで一気に引っ張られる感じ。感覚としては数十センチぐらい引っ張られたわ。布団が引っ張られる瞬間に目覚めたんだけど、目は瞑った状態。そしたら、自分の頭上の畳を三人ぐらいの人が速足で歩いて通り過ぎていったに。そのうちの一人は、『おぉーい』って声を張りながら歩いちょった。成人男性の

【取材した怪談205】笑う給湯器

主に日本国内で活動されているシャーマン(霊能力及び関連器具を用いて心身、財産、人間関係などの悩みを解消する方々)のS氏が、駆け出しの頃の話。 彼は地方から上京するにあたり、都内の一戸建ての空き家を借りることになった。二階建てで、当時で築三十年以上は経過していた。彼のお客さんの紹介だった。 「年間十万円で住んでいいよっていう破格の条件でした。その代わり、お祓いをしてほしいと頼まれたんです。その家ではお化けが出る話が出てて、空き家の状態が五年ほど続いてましたから」 入居して

【取材した怪談話161】懇願

話者:十代女性 ・・・ 小学校五年か六年の時だったと思うんですけど、ゴールデンウイークに家族で〇〇県の祖母の家に行った時のことです。滞在中、叔父が運転するワゴン車でタケノコ掘りに行きました。同じ県内の山に、昼ごろに向かったと思います。 山に向かう途中の田舎道は、東京暮らしだった私にはとても新鮮に映りました。その道すがら、広い草原に囲まれた一軒家が目に留まりました。大きくて古い木造の家です。その景色は絵画のような印象を受けました。同乗していた母も同じように感じたらしく、車

【怪談実話120】X号室の経緯

徹さんは小学生の頃、近所の幼馴染Aの家によく遊びに行っていた。二階建てアパートのX号室だ。玄関を入ると六畳の和室があり、奥に四畳半の和室が続く。 Aは片親で、夜間業の父親と二人暮らし。遊びに行くといつも六畳間でAの父親が寝ており、その脇をそろりと歩いて四畳半のAの部屋に入っていた。父親の隣で交際女性が添い寝している時もあり、あまりジロジロ見ないようにしていた。 四年生のある日、いつものようにAと一緒に下校し、「また明日」と手を振って別れた。 数時間後。徹さんが自宅でニュース

【怪談実話119】先客

物心つく頃には、いろいろ視えていた女性Yさん。 「なんであの子はいつも、あの花壇に座ってるの?」、「あの人、なんでずっと木のところでブラブラ揺れてるの?(おそらく首吊り)」など、指を差しては母親に聞いていたそうだ。母親からは「それは人じゃないから、気にしなくていいんだよ」と諭されていた。 そんなYさんの息子さんと娘さんも、その体質を色濃く受け継いだようである。 ・・・ Yさんが幼い息子・娘さんを連れて、新居を探すためにある物件を内覧をしていた時のことだ。近い将来住むかも