【取材した怪談244】振り返さなかったから
二十代の真人さんが十代の頃、仲が良かった父方の叔母が亡くなった。原因は癌。発見時には進行しており、治療が見込めない状態だった。
「あまりに突然でした。当時、叔母は旦那さんと折り合いが悪く、お子さんも難しい年頃でしたから、思い残すことが多かったんじゃないかと思います」
その叔母の三回忌法要に、真人さんは参加した。真夏に行われ、冷房が効いた法要会場で参加者は椅子に座っていた。彼の隣は伯父だった。法要の儀式は粛々と進行され、僧侶による読経が始まった。
読経中、隣に座っている伯