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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2022年5月の記事一覧

【取材した怪談231】空白の四時間

四十代男性Hさんが小学高学年の時、学校行事としてS県で移動教室(野外実習のような行事)が実施された。二泊三日ぐらいの日程。宿舎は四階建てで、就寝用フロアには二段ベッドがずらりと並んでいる。フロアごとに男女別れて就寝した。 初日の夜。 深夜一時頃、彼は尿意を催して目が覚めた。「時刻は間違いない」とのこと。目をこすりながらベッド下段から抜け出て、暗い廊下の奥にある共用トイレに向かってゆっくり歩いていく。扉を開けてトイレに入り、小便器前に立ってぼんやりしながら用を足す。そのとき、

【取材した怪談230】故郷の夜道

本土からフェリーで2時間以上要するX島。 山々や滝などが豊富に存在する、人口数千人の離島である。 夜は主道でさえ暗い。脇道に入ればもう真っ暗。山道ではガードレールが設けられていないカーブも多い。運転中に油断すると、道路から外れて車ごと崖から真っ逆さまである。 ヒロト君はX島の高校を卒業後、大学進学のため上京した。 大学1年の夏季休暇に合宿で運転免許を取得し、島に帰省した。 その際、高校時代の友人2人と数ヵ月ぶりに再会した。 ドライブも兼ねて、ヒロト君が実家の軽自動車を借

【取材した怪談229】神奈川の廃病院

文章取材:三十代男性 ・・・ 私は子供の頃、神奈川の田舎に住んでいました。 自然があふれる場所だったのですが、その自然の中にはあまり似つかわしくなく、昔病院として使われていた建物が廃墟として残っていました。 もちろん施錠されているので中に入ることは出来ず。そして入口の前には車を数台停められるようなスペースがありました。 夜になると近くの空き地や公園には不良連中が屯していることも多かったのですが、その病院の駐車スペースに人がいることは一度も見たことはありませんでした。

【取材した怪談228】ヤバいですよ

関西地方にお住いの山野さん(二十代女性)は中学生の頃、何をやっても上手くいかない時期があった。そんな折、たまたま親族の紹介で隣県に住む霊能者の自宅を訪ねる機会に恵まれた。山野さん自身は特に霊感があるわけではなく、何かアドバイスがもらえたらいいかな、ぐらいに考えていた。 当日、母親とふたりで霊能者の自宅に赴いた。 「霊能者」というのは気難しい顔をした高齢の人間を想像していた。が、実際に対面した時の印象は、話しやすい気さくな中年女性だった。 さっそく山野さんが鑑定してもらった