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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2022年3月の記事一覧

【取材した怪談219】六甲山(兵庫)

六甲山──兵庫県南東部、神戸市西部から北部に位置する山塊。新日本百名山のひとつ。六甲山から吹き降ろす強い北風を六甲颪という。 四十代男性K氏が高校生の頃の話。 当時、彼は兵庫県の六甲山中腹に位置する住宅街に住んでいた。この住宅街に車で進入するには、有料道路の料金所を通過する必要がある。 ある夏の夜、地元の先輩の車に同乗させてもらって帰宅したことがあった。その時はK氏以外にも、男友達A君、A君の彼女も一緒に同乗した。運転席には先輩、後部座席にK氏とA君、助手席にA君の彼女が

【取材した怪談218】彷徨う叫び

男性K氏が二十代の夏、兵庫県内のラブホテルに彼女と車で赴いた。彼はTシャツに短パンでサンダルの出で立ちだった。受付で■■号室を選び、エレベーターに乗って上階に上がり、その部屋に入室した。洗練されたシックなデザインの部屋で、ベッド、ソファ、テーブル、テレビが並べてあった。 部屋を真っ暗にしてソファに並んで座り、彼女と甘い雰囲気を愉しんでいた、その時──。 おおおおぅおおおおぅおおお 彼らの後方から、中年男性の断末魔のような声が接近してきた。その声の塊は二人の間を通り抜け、

【取材した怪談217】宍道湖(島根)

「五年ぐらい前まで、よう宍道湖に夜釣りに行ってました。鯉が釣れるポイントがあるんです」 お話を伺った男性Aさんによれば、鯉釣りに適した時期は秋ごろ、時間帯は夜20時から朝5時ぐらいの夜間だそうだ。その時間帯に、岸壁に付着している田螺を食べに鯉が泳いでくるところを狙う。ちなみに彼が釣り上げた鯉の最大サイズは約88cm。竿に掛かってから釣り上げるのに30分ほど要した。だが、一晩粘ってもボウズ(一匹も釣れないこと)であることも多い。 ある秋の夜、Aさんは単独で鯉釣りに出かけた。

【取材した怪談216】通行の妨げ?

島根県某市にお住まいの五十代男性・福間さんから伺った話。 十年以上前のある夜、彼は自宅一軒家の二階の和室で敷布団を敷いて就寝していた。 「寝ちょったら、いきなり誰かに敷布団ごと下にズラされたに。すごい勢いで一気に引っ張られる感じ。感覚としては数十センチぐらい引っ張られたわ。布団が引っ張られる瞬間に目覚めたんだけど、目は瞑った状態。そしたら、自分の頭上の畳を三人ぐらいの人が速足で歩いて通り過ぎていったに。そのうちの一人は、『おぉーい』って声を張りながら歩いちょった。成人男性の

【取材した怪談214】飛光線

幸博さんは前職で線路整備に携わっていた。担当は主にレールや枕木などの点検、修繕、交換で、作業の大半は終電から始発までの深夜だ。時間が限られているため、手際よく終わらせなければならない。 数年前の三月、深夜三時頃。彼は同僚男性のAさん、Bさんとチームを組み、近畿地方のとある鉄道の線路整備を行っていた。線路に沿って幸博さん、Aさん、Bさんの並びでそれぞれ十メートル近く間隔を空け、しゃがんで作業していた。 幸博さんは肌寒さに耐えながら作業していたが、ふとAさんに視線を向けた。 「

【取材した怪談213】説明

四十代男性Kさんは小学生時代、兵庫県某市のサッカースクールに通っていた。高学年の夏休み、彼はスクール主催の合宿に参加した。その合宿は複数の小学校から参加者が集まる合宿で、二泊三日にわたり県内の山林地で実施された。引率のコーチによる指導のもと、主に山の地形を利用した走り込みなどが行われた。 「宿舎も山ん中やった。泊まる部屋は二階の大広間の和室で、三十人ぐらいが雑魚寝。窓の外はすぐ林やった」 合宿初日の夜。 就寝時間が過ぎていたが、Kさんは他校の男子二人と窓側の障子近くに座り込

【取材した怪談212】牛首トンネル(石川)

石川県内の大学に通っていたという仁さん。当時彼が在籍していたサークルでは、牛首トンネルに肝試しに行く恒例イベントがあった。北陸屈指の心霊スポットだからだ。 「トンネルの中にお地蔵様が祀られてて、それを見に行くというものでした」 そのお地蔵様が血の涙を流す、老婆の霊が現れる、などの噂が囁かれていた。 2014年の夏の夜、仁さんらは石川県側から車に4人で乗って現地に赴いた。サークル仲間が運転する軽自動車に仁さんが同乗させてもらった。県道74号線の峠道をうねうねと登っていく。鬱

【取材した怪談211】ツンツン・二篇

【一話目】 女性Iさんが中学一年の夏休み、地域の青少年らのグループで埼玉県の秩父か長瀞辺りに一泊二日のキャンプに赴いた。当時彼女は「ジュニアリーダー」(小学生の活動を支えるリーダー的役割を担う)としてボランティア活動をしていた。 「キャンプには、大人・大学生数人、小学生三十人、中学生十人ほどが参加しました。野外炊飯でカレーを作ったり、キャンプファイヤーを愉しんだ後、コテージに戻りました。コテージは男女ごとに別れ、一つのコテージには小中学生五~六人が割り振られました」 夜

【取材した怪談210】十三人目

文章取材:三十代男性 ・・・ 私は以前、SR400というバイクを所有していました。とても人気のあるバイクで、そのバイクに乗る人たちが沢山集まるイベントなどがあります。 当時、私もそういった複数人でのツーリングによく行っていました。ある日、十二人とその台数のバイクでお泊りありのツーリングに行きました。埼玉県から福岡県の山中にあるバンガローへ行く旅でした。 途中、お昼を食べるためにレストランに寄り、その次は休憩のために喫茶店に寄りました。その他にも吊橋の名所などにも行きまし