できることならスティードで Intermission2 「ヴォルール デ アムール」/加藤シゲアキ (読書感想文)

単行本発売にあたり
書き下ろされた
"旅する"掌編小説3編のふたつめ。

加藤シゲアキという人は
人や場所が交わるように
物語を描くの巧いなというのが
この小説を読んだひとこと感想になる。

掌編小説3編は
ひょっとしたら
全部繋がってるのかも?と思わせる
ふたつめだった。

ひとつめの「がまし」に出てくるフェンスと
このふたつめに出てくるフェンスは
同じものではないのか?と
想像させる。
「南京錠」も登場した。

『ライオンの彫刻の周りに額縁が置かれたような状態は
 それはそれで悪くなかった』
には「がまし」で書かれていた「獅子」なのでは?
と思い浮かんだ。

「がまし」の夫婦が辿り着く前なのか後なのかによって
「がまし」の南京錠の行方が変わってきてしまうので
それもまた「人の祈りに祈る」感覚になってる気がしてしまった。

この掌編小説に出てくる
『あの日に比べれば』の台詞が
さっき書いたTrip7の感想に書いた言葉と
重なるような気もした。

タイトルの「ヴォルール デ アムール」の意味も
小説を読み進めていくうちに
ちゃんと説明してくれている。
「PMU」や「シェ・ジャン=バチスト」も
???であったが
読み進める内に
答えをくれるのが
読んでいて心地良かった。

フランスの飲食店の業態であったり
競馬についての知識など
知らないことを教えてもらった小説でもあった。

小説の中で
『たいして美味しくないとわかっていながら
 少しだけ期待してしまうのはなぜだろう』
という文章あって
読んでる時に思い出したことがある。

とある大きな公園の中のごはん屋さんでの出来事。
確かこのごはん屋さん
以前に来た時に注文してから来るまで
すごく時間がかかったところだなぁと思いつつ
もう1度入ってしまったのです。

1度目に入った時
あまりにも来るの遅かったので
「ごはん今から炊いてるんかな?」とか言ってたのだけど
待って待って待ち続けた後(1時間後くらい)に
ごはんが炊けたらしい電子音が聞こえてきたのです。
そしてその後すぐに
注文した料理がやってきました。

なのでまた遅いかも?と思っていたら
ホントにまたすごく待たされてしまったのです。
今回は大丈夫かもと
期待してしまったのだけど
またダメだったなぁという記憶が残りました。

でも物語の結末を見てみると
ダメかもしれなくても
してみなかったら
何も起こらないんだなぁと思いました。

やっぱり
未来はどうなるかなんて
予測つかないし
目の前にある出来事は
乗っかってみたり
受け容れてみたり
もう1回期待してみたり
してみる方が
面白いのかもしれないなぁと思うのでした。
(その物事に対して知識を得ることは必要だけど。)


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