できることならスティードで Trip10「渋谷」/加藤シゲアキ (読書感想文)

Trip9の時も書いたが
この「渋谷」も
連載時に読んだ。

その時にいちばん興奮したのが
「当時関西地方に在住していた先輩」に言われた言葉だった。

『あんまり大阪ぽくないなぁ』
『東京のぼっちゃんって感じやん』
『そや、シティボーイや』

これ言ったの三馬鹿じゃないの?
私の脳裏に絵が浮かぶ。
誰がどのセリフを言ったかまで
想像してしまう。

あくまで私の勝手な想像なので
実際は別の先輩の可能性も十分にあり得るのだけれど。

シゲちゃんは
広島生まれ、5歳頃大阪の豊中に住み
9歳で横浜へ。
事務所に入ったのが
小学六年生の頃。(11歳)
出身地をどこにするのか迷い
記憶も愛着もある大阪にするのが
一番得策に思い
事務所のプロフィール作成用の用紙の
出身地の欄に『大阪』と書いた。
そして言われたのが↑のセリフなのだ。

私も「大阪なの?」って思ったし
たぶんそう思う人が多い気がする。
シティボーイと思うかどうかはわからないけれど。
(最後のシティボーイの回収もとても好きだ。)
今でもプロフィールの出身地は『大阪』になっている。

地元というものがないと自覚しているシゲちゃん。
中学、高校と通った『渋谷』
放課後や学校が休みの時も遊んだ『渋谷』
オーディション会場だった『渋谷』
渋谷三部作とも呼ばれている
シゲちゃんの初期の三作の舞台である『渋谷』
自分たちで主催した成人パーティーの会場『渋谷』
について書かれてあった。

それくらい
シゲちゃんにとっては
『渋谷』は地元のような場所だったのだなぁと思う。
でも地元ですと言いきれない
何かを抱くのはわかる気がする。
私だったら「ゆかりのある場所」と言ってしまいそう。
「親友」と「友達」と「知り合い」の違いみたいな・・・
そういう感情が浮かんだ。

「1と0と加藤シゲアキ」という
シゲちゃんの作家10周年の記念本が
9月30日に発売された。
https://kadobun.jp/special/kato-shigeaki/
加藤シゲアキ解体新書とも言われていて
461ページというボリュームだ。

届いた日の事は
https://note.com/moonhand/n/n190e8c945153
↑に書いてある。

価格のことを言うのは野暮だと思うが
このボリュームで税込み1980円だと知って
驚いてしまった。

この本の中には
いろんな作家、詩人、俳人の方の競作
『渋谷と○○』というものがある。
『渋谷と○○』をテーマにして
それぞれ作品を書いてくれて
その中にもちろんシゲちゃんの作品もあって
タイトルは『渋谷と1と0と』。
実はこの『渋谷と1と0と』は
映像化もされている。
https://youtu.be/xCKepf9uMaE
(11分15秒のショートムービーです。)
たくさんの人に観てほしいという気持ちから
配信場所がYou Tubeだったのも驚きだった。

スケジュールの都合で
先にとりかかったのは映像の方なので
小説の方は原作とされているが
小説を元に作られた映像作品ではないらしいが
何かしらの繋がりはありそうだ。
(小説の方はまだ読めてないので伝えられない。。。)

エッセイの中では
『でもそう思っている時点で渋谷を心から
 愛せていないのかもしれない。』
と書いているが
映像作品まで作ってしまうシゲちゃんは
渋谷を愛していると思う。

そして
加藤シゲアキといえば
渋谷の街を
私は思い浮かべる。

『渋谷と○○』を
もし私が書くならどんなものを書くだろう?
依頼もされていないが想像してみた。

私にとってシゲちゃんの渋谷のような街は
地元である八尾辺りになりそうだ。
学生時代によく行っていた場所となると
近鉄八尾駅、通称:近八尾辺りかな?
街というよりは町という感じだけれど。

小学生の頃は
親と一緒に行っていて
屋上でトランポリンをよくしていた。
特に技があるわけでもなく
ただひたすら垂直に跳ねていた。
時々お尻で着地して
立ち上がったりもしていたけれど。。。

あと、なぜか、フラミンゴが飼われていた。
フラミンゴの色合いがかわいくて
よく眺めていた記憶がある。

高校生の時は自転車通学だった。
近八尾を通り過ぎて
隣の駅が最寄り駅の学校に通っていた。
その頃まだフラミンゴが屋上に居たかは
わからないけれど。。。

渋谷を八尾に置き換えて
何か書いてみようと思ったけれど
『1と0と加藤シゲアキ』に載っている
作家さんたちの小説などを読んでいたら
私もやっぱり『渋谷と○○』で書きたいなと思った。

私の中の渋谷はどういう存在なのかを考える。
私が渋谷を訪れる時は
だいたいがライブの遠征だった。
初めて行ったのは高校3年生とか
短大1年目とかだった気がする。
その時は渋谷公会堂に行った。
(今の名称はLINE CUBE SHIBUYAかな?)
ライブで知り合ったお姉さま方に
ついて行ってただけなので
まったくどこを歩いたのか覚えてなかった。
翌日は、原宿の歩行者天国に連れて行ってもらった記憶が残っている。
(それくらい前の時代です。(笑))

それから何度か
ハチ公口を起点に
La.mamaやらShibuya eggmanやら
NHKホールやらタワレコのインストアライブやら
青山通りの方の家具屋さんやら
魚なブランドの服のお店やら
訪れたことがある。
渋谷センター街を歩いたこともあったなあ。。。

その都度脳内に地図を描くものだから
距離感がイマイチつかめてなくて
本当の渋谷よりも
私の頭の中の渋谷は大きくなってしまっている気がする。

そんなことを考えていた時に浮かんだ短歌が

ツギハギの街は大きくなりすぎて
ホンモノよりも
私の渋谷

だった。
私の渋谷はツギハギだった。

『渋谷と○○』のことを考えていた
別の夜には
救急車がサイレンを鳴らして
近付いてくる音がした。
そしてけたたましさが最高潮になって
音を変化させて小さくなっていった。

その時に脳内に浮かんだ短歌は↓これだった。

サイレントな町に響くサイレンと
交差するとこ
フラミンゴ立つ

突然現れたフラミンゴ。
いつか見た屋上のフラミンゴが混ざったのだろうか?

そういえば
フラミンゴってホントは赤くないんだよね。
食べるエサの色で変化してるらしい。
そしたら食べる量とかで
色が違ってくるよね。
私は、ピンクとか少しオレンジがかったピンクとか
そういうイメージだけれど
人によっては見え方も違ってるのかもしれないなぁと
思考を巡らせてました。

そこでできたのが↓この短歌。

暗闇に
立つフラミンゴ
何色に
見えるのが正解なのか聞く

すると今度は
横断歩道の真ん中にフラミンゴが現れました。
↓この短歌のように。。。

点滅の
横断歩道
真ん中に立つフラミンゴ
こちらを見てる

いろいろ調べているうちに
横断歩道は伸びていき
渋谷のスクランブル交差点になり
その真ん中にフラミンゴが片足で立ってる映像が
脳内に浮かびました。

私の『渋谷と○○』は
スクランブル交差点のフラミンゴのお話になりそうです。
(あと、『渋谷と家具屋さん』のイメージもありますが。。。)

まだ書き始めていないので
どうなるかはわかりませんが
『渋谷と○○』のことを考えると
横断歩道が伸びていき
その真ん中で片足で立つフラミンゴが
ずっと私を見ています。


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