マガジンのカバー画像

★あなたに観て欲しい映画

6
しんどい時、辛い時、寝る前、お酒飲んでる時、その肴になることを願う映画の話。
運営しているクリエイター

記事一覧

「知りたい」を忘れない。─「ブータン 山の教室 」─

「ブータン 山の教室」という映画を観た。 スクリーンから、ブータンの山々のにおいや、採れたてのチーズのほろ苦さ、そして、子供たちのにこやかさと、学びへの真剣さがひしひしと伝わってきた。 「知りたい」っていいなぁと思った。 いつからか「知りたい」気持ちは希薄になっていた。自分の専門内のことだけわかっていれば十分生きていけると知った時から、それ以外への興味をあえて捨ててきたのだと思う。 でも、この映画を見たら、小学校のときに平仮名の「あ」をうまく書けた喜びや、孵化するセミ

僕の好きな女の子─「好き」と言えないあなたに贈る映画─

好きな人に「好き」と言えずにもどかしい思いをしたことはありますか? 振り向きもされず、絶対実らないと分かった時の「あぁやっぱり…そうだよね」という絶望は、とても静かで、笑ってしまうほどの切なさです。私はそんな感じでした。 なぜ好きと言えないかって? 勝算がない。自信がない。そして、言ってしまったら、友達としてももう会えなくなってしまうかもしれないから。 だから、友達のまま、好きな人の光を見つめるだけなんです。 そういう思いをしている人に、今、この瞬間、観てもらいたい映

★映画鑑賞★『二重生活』

緊迫度★★★★★ まさか度★★★★★ 菅田将暉のエロス度★×1000 主題歌のない映画を、私は信じる節がある。 音楽で誤魔化さないというか、感動で完結させないところに現実味があって、自分の身に降り掛かってくるような感覚がある。 主題歌のない『二重生活』はそんな映画だ。 大学院で哲学を専攻する白石珠(門脇麦)は、修士論文のテーマに悩んだ挙句、指導教授の篠原(リリーフランキー)に勧められ「理由なき尾行」を始める。それは、実存哲学に繋がる何からしい。ただ、これにはルールがあり

★映画鑑賞★『彼らが本気で編む時は、』

血縁と愛について考えよう度:★★★★★ 最後胸がちぎれる度:★★★★★ つい先日、ふと「子どもを産みたい」と思った。 魂の底からそう思ったのは初めてだった。それは、今まででは考えられない思考回路だった。嘔吐恐怖症という不安神経症を持っているからだ。(つわりが怖い。) それだけではない。 「生きていても絶望ばかりだ」と思ってきた自分が、新たな生命体に「同じ思いをさせるまい」と思ってやまなかったのに。どういう心境の変化か?母乳でも出始めるのではないかと焦った。 受けた愛情

★映画鑑賞★『PARKS』

ポスターのイメージ覆す度:★★★★★ 歌を歌いたくなる度:★★★★☆ 武蔵野愛:★★★★★ 不思議な体質で、東京23区を離れ武蔵野付近に近づくと、急にまわりの音が遠くなって、時間がゆっくりになり、ふわっと浮いた感じがする。 「武蔵野現象」と呼んでいる。 たまに親戚と武蔵野界隈を歩く時は、 私)「あッ今『武蔵野現象』キテるから、待ってて!」 親戚)「またかよwwww」 みたいな会話が盛んになる。よく考えるととても怪しい。 なぜこのようなことになったかはよく分からないが、

★映画鑑賞★『勝手にふるえてろ』

笑える度:★★★★★ 犬のフン踏んでも頑張れる度:★★★★★ 昔から「私は存在してもいいのか?」と思ってきた。 「私存在していいのか説」は頭から離れることなく、接する人や対応する仕事に大きな影響を及ぼす。「私がこんなことしたら駄目なのでは…」と。 いつからか音楽や文学に親しむようになってから、このじめっとした苦しい思いは「センチメンタル」へと昇華されて、同じ思いを持つ人への「共感」となり、私のアイデンティティになった。どうやら私は存在して良いらしい。 そういう思いをすべ