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戦闘力の高い本ってやっぱり京極夏彦なのかな

書くの楽しくて毎日なんか書いちゃう。

戦闘力、というと私は学生時代に体育の授業で柔道をやってみたかった。男子はやっていたが、女子はやらせてもらえなかった。代わりに何してたんだろう、三点倒立とかかな。
三点倒立で身を守れるとはとても思えないので、護身術として女子にも柔道を教えてほしかった。もしくはバリツ。

バリツといえばシャーロック・ホームズ
シャーロック・ホームズといえば、私の初恋の相手である。

小学6年生、中学受験のために夏期講習に通っていたころ。
塾へ行く支度を終えて家を出るまでの時間で暇つぶしに母がテレビをつけたところ、丁度やっていたのがNHKの人形劇版「シャーロックホームズ」だった。
三谷幸喜氏の脚本で、15歳の若き少年ホームズと転校生のワトソンが学園で起こる奇妙な出来事を解決するために奔走するというストーリー。

恥ずかしながらそれまでホームズの名前は名探偵コナンでしか知らなかった。人形劇も見たことがなかった。

衝撃だった。

かっこよすぎるオープニング。イケボすぎる15歳ホームズ(cv. 山寺宏一)。ワクワクするストーリー。個性的なキャラクター。人形なのに目が動き、まばたきをし、首を傾げ、笑い、怒り、動く、動く。角度によって表情が変われば、陰影によって感情が見える。

総合芸術だ、と思った。
一目惚れだった。

その後、BOOKOFFで青い鳥文庫版『バスカビル家の犬』を購入した私は三谷幸喜氏の解釈と脚色の素晴らしさに舌を巻き平伏することになるのだが、それは今はいい。
(ちなみになぜ青い鳥文庫版を購入したかというと、私がまだ幼くて、人形劇版と同じ「ワトソン」表記のものしか受け入れられなかったからである)

とにかくその日からホームズが私の生活のすべてになった。
人形劇を真似して吹き戻しを買いそろえてはポケットに突っ込み(ぐしゃぐしゃになるまでがセット)、LEDライト付き拡大鏡を持ち歩き、常に探偵風帽子をかぶり、踊る人形の暗号で手紙を書き、冬にはイギリスだからという理由だけでユニオンジャック柄のマフラーまで巻いていた。いま思えば痛々しいヲタク初心者である。
でもそのくらい、NHKのホームズは面白かった。私とホームズの年が近かったせいもあるだろうが、他人を気にせずやりたいことを貫き傍若無人で頭脳明晰な「問題児の少年」は、受験勉強で鬱屈したひねくれ幼女にはひどく輝いて見えたのだろう。

少年ホームズ。かわいいね。

いや、いまも輝いてる。
おかげで立派なショタコンになりました。

あれから長い年月が経った。原典は全部読んだし、解説書の類も色々と読んだ。パスティーシュも読んだ。最近ではヴィクトリア朝京都なるヘンテコ世界に遠征もした。ドラマも見たし宝塚歌劇版ホームズも見た。FGOではホームズが来てくれなかったのでとりあえずモリアーティに聖杯をつぎ込んでいる。

ホームズに出会ってなかったらもうちょっと寂しい人生だったと思う。

二次創作に対する思いは色々あるはずです。
私が「ワトソン」と「ワトスン」でまごついたように、受け入れられるものとないものがあったり、やっぱりオリジナルしか勝たんなってなったり。仕方のないことだと思います。
私も、ルブランのアルセーヌ・ルパンシリーズに登場する間抜けなホームズが受け入れられず、ルパン絶対許さないマンだった時期がありました。

でもねえ、作品を生み出すってすごい労力なんだよね。

二次創作は、ひょっとしたらオリジナルを生み出すよりも大変で。
下調べがものをいうのはもちろん、個性を出しながらも原作を逸脱せず、ありきたりと目新しさを丁度良い塩梅でブレンドしながら、「原作ファンの納得」が求められる(あくまで個人で楽しむ分にはそこらへん自由にするのが醍醐味なところもあるけれど)。

原典への愛がないと二次創作ってできないんだね。

私がふれた人形劇ホームズには間違いなく原典への愛と尊敬があった。だから何も知らないお子ちゃまが見ても100%面白かったのだと思う。愛、大事。

なので私はいつまでも初恋どまりなわけです。
それが悲しくもあるし、楽しくもあるのでした。


今日はシャーロック・ホームズのお話でした。
あんまり内容がない気がするけど良いのかな。


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