33「詩」桜
今朝窓を開けると
わたゆきのような朝のひかりが
ふわりふわりと揺れながら降ってきました
春になったのです
ひかりは吹き溜まりにまで積もります
柔らかなふかふかした肌触りで
産まれたばかりの子どもの頬をひと撫でして
ひかりのない隅っこに降っていきます
人の背丈ほどに降り積るまで
あとからあとから降ってくるのです
そうして街の人々がすっぽり
包まれてしまうと
桜の木の葉脈をつたって
蕾の先端まで
辿り着き
祈りのような
薄桃色の
桜の花が咲くのです
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