29「詩」くびきの冬
遠く妙高山のふもとまで田畑は続いていた
誰も足を踏み入れる事のできない純白が
世界の片隅まで覆いつくし
沈黙している
すべて生き物の気配はどこにもなかった
凍てつく寒さが辺りの空気を研ぎ澄ます
研ぎ澄まされた空気が
誰も汚すことを許されない雪原を
さらに
白く
世界の色を奪っている
いろんな色が集まって白い光になるのだ
白い光は無数の色を含み色を消していく
田畑は白い光の下で 重みにじっと耐え
やがて来る春のために
無数の色を
育む
すべての生き物は 田畑の中で息を潜め
やがて来る春のために
無数の命を
育み
そうして田畑は豊かになっていく
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