「マリオ」と「ループ」と「PSP」

物心がついた。
私はファミコンのコントローラーを握っていた。

へその緒で母と繋がってた胎児時代よりコントローラーでファミコンと繋がっていた時代の方が長い。
そういえば有線で繋がなければプレイできないのが当たり前の時代もあったな、へその緒も無線の時代が来るのかもしれないのかななどと意味不明なことを考えながらこの記事を書かせていただく。

私の家は好きなようにゲームを買ってくれなかった。経済的事情が大きいが、何より親の教育方針だったのだと思う。崇拝する高橋名人の御言葉「ゲームは1日1時間」を厳守していた。だから私は、1時間で終わらせることのできる一つのゲームを擦り切れるほどやった。

「スーパーマリオブラザーズ2」(ファミリーコンピュータ)。

やったことのある人ならわかるだろう。激ムズゲームである。私も友人や親族のゲームをかき集めて400を超えるゲームタイトルをやってきたがトップクラスに苦労したゲームの一つだ。しかし私が器用だったこともあり、この難関ゲームも年月を経るごとにクリア時間が短くなっていき、ついには1時間弱でゲームをクリアすることが可能になってきた。

私は今年で25を数える。いわゆるファミコン世代では決してないが、貧しくて次世代ゲーム機を買えない我が家にとっては、「ファミコン」が最も活躍してくれたハードであった。

初めての感情『飽きる』

しかし、物心がしばらくついてから(日本語が合っているかわからないが)中学生にもなると、「飽き」を感じて「流行」というものを知るようになった。スーマリ2では物足りなくなり、PSPのとりわけ「モンスターハンター2nd」が欲しくなってしまった。

限界集落の中学校では生徒数より猪の数の方が多い。近くに若者が集う場所がない小さなコミュニティの中ではゲームが実はコミュニケーションの重要な要素であった。このモンハン2には通信機能があり、4人同時にプレイすることが可能、当然私もその輪の中に入りたいと考えた。

母親に直談判をすると、帰ってきた返事は
「私が提案する課題図書を3冊読みなさい」
というものだった。
その本とは

①モモ(ミヒャエル・エンデ)
②果しない物語(ミヒャエル・エンデ)
③偉大なワンドゥードル最後の1匹(ジュリーアンドリュース)

この洋書3冊だった。
120匹のてんとう虫を真面目に1匹ずつペットボトルに回収するような正直者の私だから【別記事参照】、この条件を飲み、毎日決まって学校と部活が終わった後に読書の習慣をつけた。

ベッドに入り、30分間を読書に充てる生活が始まった。実は②に関しては小学校2年生から4年かけて一度読み終えていた本だったから、サッと読み終われるとたかをくくった。しかし、読んでみると物語の印象が、驚くほど変化していた。だからまた新鮮な気持ちで本を読み進められた。

読書感想文は別記事で書かせていただくとして、この3冊はマリオ2より難解だった。そして何よりページ数が多かった。今調べたところ合わせて1250ページほどある。ここから地獄のループ作業が始まるわけだ。しかしこれは小学生時代に感じていたあの感覚に似ていた。

ループ作業

小学生時代の私は『スーパーマリオ2のステージ8-4』で無限ループにハマり、クリアできるようになると『1時間でマリオをクリアする』という無限ループの毎日を過ごし、そして中学生時代は『学校→部活→読書』の無限ループにハマった。今思えば、親の教育方針は

○ゲームをするならメリハリをつけること
○そして途中で投げ出さないこと

だった。いわゆるプロゲーマーの中にも高学歴の人が沢山いる。ゲームと勉強の両立はしばしば問題として取り上げられるが、私はゲームへの異常な執着心はポジティブな効果をもたらすと考えている。少なくとも私の中学生時代には「習慣づけ」に良い影響を与えた。

ゲームのおかげで勉強やスポーツに対する姿勢を学んだ。まさに人生の基盤になった。

まとめ

無情にも、ゲームを買ってもらいたいのに本が読み終えられず、長い年月が過ぎていった。そして

一年経った。

約束は決して破らない母。もう直ぐ読み終えると伝えると、実はサプライズでPSPとモンスターハンター2ndを買ってくれており、いまは隠しているのだという。

冷や汗が流れる。なんとも言えない感情がうまれた。この時ばかりは母に約束を破ってほしかった。喜びと悲しみが同時に感じた。

モンスターハンター2ndGという続編が既に出ていたからだ。



母親に直談判をすると、帰ってきた返事は
「私が提案する問題集を3冊解きなさい」
というものだった。
その参考書とは

(無限ループ)


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