3/5ラストレクイエム『薄桜散る夜に』プレイレポ
久しぶりのGM、久しぶりのプレイレポである。
今回はラストレクイエムのSSSより『薄桜散る夜に』をプレイした。今回のSSSでテーマとして取り上げられたのはアームズとベルセルク。今回は公式サイトからDLできるトレーラーの範囲で見ても「薄桜丸」なる降魔の刀――すなわちアームズにまつわるお話だ。
公式シナリオのレポートとなる。記事途中で「以降ネタバレ」の注意喚起を入れるので、未プレイの人についてはその先を読まないことをおすすめする。既プレイだったりこれからGM予定の人は、よその卓ではこんな感じになったのか、という参考なんかにしてほしい。
※ちなみに 公式サイトからトレーラーとハンドアウトは©表記付きで公開されているので、そこまではネタバレ扱いにはしないものとする。
なお、今回の卓は久しぶりに、GMのRPに力が入りすぎて言葉に詰まった(もちろん、二の句が次げないんじゃなくて感情が溢れたやつだ)お話だったりする。
プリプレイ
PC①
PC①にエントリーしたのは生粋のネオ(人間)の青年、トリガー/モニター/タレントの真黒創史(まくろ・そうじ)。"神の視点(プロヴィデンス・アイ)"という二つ名を持つ元クラッカーで、かつてレムレス事件を公表してしまったことの「贖罪」としてヴァルハラに協力する。
しかし、その在り方は大きく変わっておらず、レムレスとの戦いを進めていくためには、闇の世界の住人……ゴシックたちの情報を世に知らしめることも必要だ、というある種危険思想による現状打破を求めている。
そんな彼の見せる”真実”は時として人の熱狂を呼ぶこともあるという……というキャラクター。
長くヴァルハラでもオペレーター的な役割に徹していたが、最近になってドローン戦闘の技術を磨き、レムレスとの戦いの最前線に赴くようになった。そういう意味では現状打破のための一手を着々と打っているところ、なのかもしれない。
斜に構えた雰囲気もあるが根っこは熱いところもあるヲタ風味青年、という役どころで、今回は立ち位置においてフットワークの軽さを見せたと思う。
今回は斬殺事件を追うヴァルハラのエージェントとしての枠。その”神の視点”を生かした調査を…というわけだ。
PC②
プレイヤーは猫屋敷さん。今回は竜の力を宿すことになった人間の青年、イージス/ファフナー/デイリーライフの叢雲珠雨(むらくも・しゅう)。ファフナーの宝珠に適合し、その武具を身にまとう近接型の戦士。普通の家庭に生まれ育ったからこその「普通」なものの見方はレイヴンとしては他を以て替えがたき強さになることを示してくれた。その決意も願望も、ともに誰かを守ること、というイージスの生き様を示している。
個人的にはPC作成時の相談で
猫屋敷「なんか、とりあえず攻撃もできるって言いい張れる技ある?」
MOO「〈†強欲の牙〉はどう? 誰かを守る、という強い欲求が力になる的な」
的なやり取りを採用してもらえてニッコリ。
今回のハンドアウトはラストレクイエムの世界観にしっかりと立脚したもの。PCの相棒が討滅すべきレムレスへと堕落してしまった疑惑がある、という導入である。
PC③
プレイヤーはクリスくん。
キャラクター名は雪目雪鶴(ゆきめ・ゆづる)。今回は生粋のゴシックにして「ゴシックブラッドの組み合わせで1つの種族をデザインする」というコンセプトのもと、ナイトメア/オルフェウス/サーヴァントで雪女を作成してみせた。物理的な寒冷というよりも、オドを奪いマナを停滞させることによって低温を生み出すという方が近い。雪山で遭難した男の見る最後の夢、のようなイメージからナイトメアを引っ張ってきて、オドを奪う=精神戦を得意とするキャラクターにデザインされていた(デザイン協力:おれ)。
今回のハンドアウトでは、古きオルフェウスの血族であるケルナーツに招かれ、降魔の刀による同族殺しの調査を依頼される、というもの。
ケルナーツといえば、強大なオドを内包するオルフェウス族の中にあって、それ束ねるシェーンベルク家に連なる人物である。そんな彼からの依頼の見返りに、雪目が望んだのは彼の内包するオドであった。
実は彼女、雪女伝説の解釈として、主に男性からのオドを吸収することで生きているのだ。(だから表(?)の仕事のサーヴァントとは夜のお仕事なのである。アダルティ!
雪目がレムレス討滅に臨むのは、彼らレムレスのオドを得る、という理由もあったりするのだ。
今回の工夫
今回は公式シナリオということもあり、シナリオ面の調整は最小(この辺はネタバレの方で書く)。ならばその時間で、ということでPLの皆には普段よりも意識的にインタビューを多めにしてみた。
Discordのスレッド機能、便利だよ!(ダイマ
まぁ、インタビューの内容は割とありふれたもの。PC②と③はハンドアウトで関わることになるNPCとの関係の掘り下げだったり、PC①は事件を追う関係上、レムレス討滅に関するスタンスだったり。
イメージを返してもらったら、できるだけNPCのセリフを「」付きで返して「こんな感じ?」って聞き返してみたりでチューニング。ここらは先週あたりからツイッターで色々書いていた「表出」の話。
設定面からセッション中の行動へとイメージを抽出・具体化するためのすり合わせだ。設定を提出してもらってからセッションまでの間にやっておくといいことベスト3に入ること間違いなし!
今回はその時のやり取りをたくさんセッション内に反映させた。特にPC②とバディの夜坂夕美とのこれまでのイベント(たとえばPC②には妹がいて、妹と一緒に外出中のところでばったりであったことがある)とかは随所に織り交ぜたり。
まぁこの辺、他のPLにとっては「はじめて聞いた話題だ!」ってなる可能性もあるんだけど、それはその場でのアドリブでも一緒。Discordのスレッドで分割しているとはいえ、他のPLの目にも触れる形になっているので、その辺にまで興味を向けてくれていたPLには一緒に楽しめるネタになったと思う。この辺のバランスは難しいけど、投入リソースは裏切らないと信じる。
ハウスルール
今回はいくつかのハウスルールを設定したのでその解説とか。
ということで情報収集周りを中心に、主に時短を意図したレギュレーションだ。いわゆる「失敗しても情報は開示するよ」系ルール。システムに応じて、たとえばポイントが加算されたり、みたいなのもあったりするんだけど、今回はGM側にいくつかの選択肢を設けてみた。
・エピタフをめくらない
⇒情報収集に成功するとエピタフを開示(=ボスの所持神業が分かる)というのが重要なルールではあるんだけど、これをオープンにしないことでPL側が「ここで神業を使っても倒しきれるか分からない!」みたいな状況になる。……正直あんまり多用したくないペナルティではあるのだが、避けてほしいからこそのペナルティなので設定した。
・GMが切り札を使用可能にする
⇒本来、GM側の使用はゲームの難易度を上げるためあんまりおすすめできないと明記されているのだが、これも避けてほしいからこそのペナルティ。ただし1シナリオ1回の制限は設けるつもりだったので以下の条件も追加。
・そのシーンでの手札交換時にPCはカードを1枚捨てることができない
⇒本来ならシーン終了時に手札から1枚を選んで捨札にし、その後手札上限まで手札を補充するのが基本のお作法。だがここで「1枚捨てられない」となると、実質情報収集に使用したカード分の補充しかできないことになる(GMは通常の手札交換を行う)
下2つのパターンを追加したのは、シナリオによって「明示した上で打ち消してもらわないと困る神業」に当たったとき用と考えている。それに、やっぱり神業は全部オープンにしたい、っていう要請にも答えられるしね。GMに判断の余地を与える分若干重たくなるが、「成功するまでシーンを回す」よりは時短になるかな、ということで今回から導入したやつ。
てな感じで、GMからは毎回、PLにいくつかの依頼をしている。これを実際の経験点ボーナスとして扱っているというのはわりかし少ないんじゃないかな?
だがラストレクイエム、意外に経験点1点の重みが大きい。インフレは望むころではないので若干絞り気味。その代わりに『天下繚乱』にもあったSNSへの感想公開をレギュに含めることにした。
天下繚乱の方でも、「感想書く書く詐欺」に対してはペナルティを課すようにしているんだけど(身内セッションだからできることだね)、最近このペナルティアイテムが「ここでしか手に入らないアイテム」として欲しがるPLが出始めた。別に勝手に自分で常備化したっていいんだからね!
メインプレイ
と、ハウスルールの話題を入れてしまうと前置きが長くなりすぎた。
さすがに、前後の文脈まで含めて面白いのであって、ネタバレを避けながらピンポイントで書いてもあんまり面白くなりそうにないので、ここからがネタバレ禁止区域。
スペースを開けておくので特に注意されたし。
PC②:叢雲と夕美
事前のやり取りのおかげでコンビネーションはばっちり。接近戦の夕美と、傍らでガードする叢雲、というアクションシーンから始まるお話。
しかし、レムレスを斬ったあと妖しく微笑む彼女に対し、それを指摘しないというあっぱれな信頼感。
GMにわかに浮足立つ。
(ここはリアクションせざるを得ないような三段笑いでもキメてしまうか……?)
という衝動的な動きをグッと堪え、二人の間の信頼感をしっかり出していく方向に進めたのはよかったよかった。
そこをすんなりと流した上で、ヴァルハラから「堕落した疑いがある」と聞かされるのも一興。あの時暴挙に出なくてよかった。
PC①:真黒のスタイル
オープニングではすでに斬殺事件の調査のために現場に向かっている展開。モニターである彼のこと、下手したら現場に来てくれないパターンも考えていたんだが、しっかりと規制線を越えて登場してくれた。
ここで出てくる刑事、シナリオ中複数の登場機会があるということでクリスくんにイラストを準備してもらった……この後の犠牲者になるためにイラストを準備していたのだ、という予想をPLがしていたことをおれは忘れない。
それはさておき、ドローンを取り出して周辺の走査を行う真黒に、刑事から「あんたたちはもっとこう、オカルトめいた連中だと聞いていたが…」という振りをしたところ、彼のテクノロジーに対するスタンスやらキャラクター性をしっかりと出してくれた。
PC③:雪目さんフェイドアウト
オープニングはケルナーツの屋敷。
せっかくのオルフェウス族の大物ってことで、ちょっと回りくどく話をしすぎたかなーと思っていたんだけどね。そこはクリスくんの狙いも含めていい感じにヒットしたところ。
その狙いはすなわち、報酬の前払い。
オープニングからいきなりケルナーツのオドをおねだりしにきたというわけだ。これは答えないわけにはいけないな(立ち上がってタイを取り、胸のボタンを外す)。立ち上がって近づいていき――のフェイドアウト。
実のところ、ケルナーツからどこかで言おうと思っていたセリフのための伏線として機能してくれた「生存欲求」のボール。実は雪目さん、年齢=外見と一致する、オルフェウス族系統のPCとしては若い存在。
生きるに飽いたオルフェウス族の当主の一人として、雪目の(彼ら視点で)刹那的にも見える生き方を愛でている、という関係性がなんとなく出せて嬉しいところ。
予定より多い揺さぶり
ここらはPLの嗅覚によるポジショニングというところだね。
夜坂神社で合流し夜坂真也の話を聞く、まで進めた後のこと、PC③:雪目さんがPC②:叢雲くんと直に話したい、という希望を挙げた。こいういうのを止める理由はない。
今回のシナリオではPC①:真黒もシニカル系。PC③:雪目さんは見た目というか存在からしてクール系である(熱血系雪女というのも路線としては面白いかもしれないが)。だからまぁ、両者どちらかが「堕落したならもう戻れない。覚悟を決めろ」系のムーブをすることは全然不自然じゃない。
ついでに言うとこの追加シーンによって、真黒は今回のセッションでのポジションとしてシニカル路線を少し弱め、PC②:叢雲くんサイドに(ヒーローポジへの嫉妬を隠さず)付いた、というのも良いポジション取りだったと思う。
とはいえ。
ネタバレ箇所を読んでいる人にはおわかりの通り、この後ヴァルハラの執行者、宵闇グリムによりもう一度覚悟を問うためのシーンが挟まるんだよねー。ちょっとばかり火力過多(いや、どちらかというと差すための水の量が多い)。
後にPLの猫屋敷さんの語るところによれば、ここで「夕美さんはもうレムレス化していることの分からせイベントだと思った」とのことで。
この辺もPLの動きによってなんぼでも変わりうるセッションの面白さである。PLからの揺さぶりなんて演出以上のものはない、と分かっていてもタイミングや状況でこんなにも流れを力があるんだものな。
あのときは覚悟を決めていたと少年は言った
ミドル戦闘である。今回はシナリオ的に「助けるべきヒロインを[完全死亡]させることなく戦闘不能ダメージを与える、というギミック戦闘。N◎VA系では(スタン攻撃のオプションを導入しない限り)PCがコントロールするのが意外に難しい。
そして、難しいことをわかっているのか、普通に[完全死亡]したケースについても触れられており、あくまで「PCが夕美の生存を望む場合」といういくつかある展開の1つというスタンス。実にクールなシナリオである。
そしてここに、2度に渡る揺さぶりをかけられた少年が。
あげく「妹を救う方法がこれだけだと言われたら、お前でもこうするはずだ!」という夕美本人からの揺さぶりが追加されるに至る(PCのバックグラウンドはよく把握しておくと良い揺さぶりができます)。
1ラウンド目の攻防では、PC①:真黒「俺は男女平等主義者だ!(※伏線)」と〈†花吹雪〉による範囲へのドローン攻撃や、未行動の雑魚エネミーはのPC③:雪目さんの精神攻撃などを挟み、残る夕美さんへのPC②:叢雲の攻撃、という流れに。絶技載せての26点の外的ダメージを〈見切り〉でA切って防ぐようなギリギリの戦い。危うくホントに[完全死亡]するところだった。
ぶっちゃけPC③:雪目さんが夕美への攻撃を選択していたら……このセッションは異なる結果になっていただろう。
1ラウンド目の攻防はそんな感じ。夕美からの攻撃も、かわされたとは言え普通に〈†一刀両断〉による即死攻撃だったしね。そしてクリンナップ――
そして少年(のPL)は気づいた
クリンナップを迎え、2ラウンド目……というところで猫屋敷さんのゲーマー視点が火を吹いた。
「なぜエピタフで《連続行動》がオープンされているのに、彼女はラウンド2回攻撃をしてこないんだ?――もしや、レムレスは彼女じゃない?」
この辺り、エピタフの公開によるプレイヤーへのメタ知識がうまくヒントとして働いた流れだ。背中で大汗をかいていたGMは不敵に告げた。「少なくとも彼女は《連続行動》は使用していない。APは1だ。では次のラウンド――」
「やめてください夜坂さん!」(セリフはうろ覚え)
その感情の高ぶりに応えた、叢雲の体内に宿る竜の宝珠が、彼の声に力を乗せる。《竜の財宝》として指定されていた《修羅の如く》、内的ダメージを与える龍の咆哮がバディを捉える。確実に[気絶]ダメージを与える方法といえばチャート直接参照の神業に限るね。
ゲーム的要素のおかげでPLが俯瞰的に物事を見るタイミングが取れる、っていうのは結構理想的に感じた。PCとPLの距離は常に一定である必要はないのだ。
ちなみに《竜の財宝》の経験点チェックは「満足の行く結果を出すこと」。そこをすくい上げて、のちのシーンでヴァルハラの稲生光希から「あなたの行動は決してあなたにとって満足の行く結果になるとは限らない」みたいなセリフとして出せたのは個人的には上手くやってやった感なのである(逆説的に、うまくいけば満足の行く結果、ってことで)
GM言葉に詰まる
久しぶりにやってしまった。
ついに《操り人形》によって夜坂夕美が操られていると発覚した最後の戦いの直前。《操り人形》は「他の適切な神業によって解除可能」という話は事前にしていたんだが、そこで動いたのがPC①:真黒だった。
彼は《熱狂》を使用。かれのスタイル:タレントの所以はドローンによる映像、そしてそこから伝えられる世界の真実、そこに熱狂するファンたちがいる、というもの。
だからこそ、彼の言葉には人を熱狂させる力があるのだ。《操り人形》を解除するために、真黒が叱咤したのは弟の真也だった。お前の言葉で、告げるべき言葉を、姉に言葉を届かせろと。真実が世界を変えると信じたまま大人になった真黒の言葉に突き動かされるように、姉に叫ぶ真也。
「ごめんなさい、兄妹(PC②:叢雲とその妹)揃って外出しているのを話ししてた姉さんに、『ごめん』なんていって……ごめんなさい。寂しそうな姉さんに、あの時あんなことを言ってしまって…本当はそんなことを望んじゃいない。僕には姉さんが……いてくれるだけで」
無理。
PC②:叢雲が兄妹揃って外出中のところに居合わせた夕美が「邪魔しちゃ悪いからな」と少しさみしげに微笑んでその場を去ったエピソードは、セッション前にPLとのやり取りの中で既に構築されていたんだけども。
考えていた裏話的なところを全部《熱狂》で喋らされちゃうんだもん。
GM、涙声を抑えることできず。こんなの久しぶりー!
更に上手いパスワークで畳み掛けるPL
それでもどうにかこうにか、正気を取り戻した姉のロールプレイをしたりしながら、ついにその呪縛から解き放たれたと思った束の間、妖刀・薄桜丸から無数の怨念で編まれた糸が放たれ、夕美の自由を奪う!
《解放》からの《操り人形》により、再び支配下に置こうという一手であった。ここを凌いでみせたのも、先に《熱狂》を使用したPC①:真黒であった……が、もちろん《熱狂》はもうない。
スタイル:サーヴァントの神業《献身》による神業の使用回数回復による畳み掛け。それに際してPLとしては「《献身》を頼む」と言いながら、PCは「まだ足りないのか」的なロールを挟んで支援をしっかり受ける態勢を取る。放たれた《献身》に「あんたやっぱりいい女だ(※伏線)」と返す、という、リソース回復系のブレイクスルーを使うときの理想的なパス回しで再びの《操り人形》を相殺。
怨念の糸、という物理寄りの呪縛だっただけに、再びの《熱狂》により姉と弟の手で断ち切られることとなった。いやはや、先の弟・真也のロールプレイといい、実質的にクライマックス戦闘に入る前にクライマックスの満足感を覚えるレベルでの集中力の高まったシーンであった。
壮大な伏線とオチ
バディの無実を信じ続け、実際に取り戻してみせたPC②:叢雲に、PC①:真黒は満足げに声をかける。若きレイヴンの活躍は、ヒーローに憧れていた真黒にとって眩しいものに見えていたのだろう。
真黒「お前は、男だよ! ヒーローだ!(※伏線)」
……。
「俺は男女平等主義者だ!」と、夜坂夕美にドローンによる範囲攻撃を決めた男はもういないのだ。この文章を書いているうちに気づいたんだが、PC③:雪目さんにも「いい女だ」とか言っていたしね。
これも、自ら使用した《熱狂》で真実に目を向けさせた展開の副産物。戦いが終わって、本当はこうありたい、という存在に知らず近づいていたんだろうな。「男女平等主義者だ!」はむしろ、状況に応じて使った言い訳であって、本心ではなかったということだろう。
凄いぜナラティブのちから。
真実に目を向けること
PC②:叢雲のエンディング。
叢雲はしっかりと、彼女の犯してきた罪の話をした。操られていたとはいえ、幾人ものゴシックをその手にかけた夕美さん。
夕美は、方法も、許されるかも分からないが、その罪を受け入れ、償いのために生きていくという決心を叢雲に告げる。それはバディの解消をも意味していた――。
やはりあのときの《熱狂》の余韻だったのかと思わせる流れだった。この辺をウヤムヤにして終わらせない、そんな流れが確かにあったのだと思う。
そしてもう一つの真実。
叢雲「あの時本気で一撃を放ちました――!」と深々。
「凶行を、本気で止めようとしてくれた、ということだろう? 顔を上げてくれ」
なんか、どこまでも誠実な空気が流れるエンディングだったなぁ、というのが第一位印象である。
その他:GMの調整
・【夜坂家への祟り】
2回目の情報収集、【夜坂家への祟り】の情報項目、与える方法書いてないよね!?
とりあえずシーン13で調査可能な情報収集項目としてしれっと追加しておいたけど……。
・ヴァルハラの設定
P200「●堕落」のところで「レムレス化と同時に聖痕が消滅してしまう」という設定(ただしPCにはそもそも聖痕でモニタリングされている事実が明かされていない)が書かれている関係で、夜坂夕美への嫌疑のリアリティがかなり変わる。というかヴァルハラ側ではシロかクロかが分かってしまうのだ。そして今回夕美は「行方不明」。聖痕がモニタリングできない状況となれば……疑っている場合じゃねえ。宵闇グリムを出せ。
・堕落の設定
これはゲームの都合とシナリオの都合の話。
本来、このゲームではレムレスを倒し、呪素を溜めたレイヴンは死に瀕したときに呪素の影響で自らもレムレスと化す恐れがある、という設定である。
今回のように、呪素を溜めたからといって堕落するのは、少なくとも世界観的にはレアケース。
そう考えると先の「ヴァルハラの設定」とも総合して、《情報隠匿》により聖痕の反応が消え、呪素の状況からしてどう考えてもレムレス、という観測結果であっても、堕落に至る過程を踏んでいない、ということでヴァルハラ側はあくまで「疑い」という振る舞いをしていたのかもしれない。
(まぁシナリオの外側で瀕死の重傷を負っていたのかもしれないが)
……このあたり、今回のセッションでは「こう扱います」という事前情報として書いておいてよかった。
これからセッションする人はうまいこと調整して、逆により世界観に踏み込んだシナリオ展開にしてみるのも一興だと思われる。
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