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2/12 ラストレクイエム『呪われた遺産 ~悪魔城~』プレイレポ

今日はメンバーの予定が合わなくて、自分含めてPL2名のセッション。GMは猫屋敷さん。

このセッションの話はあまりにもハイコンテクストに過ぎて重くなってしまうところだが、簡単に言えば続き物の第三話、いわゆるキャンペーン風の物語である。

クリスくんのPC、鬼頭赤願(きとう・あかね)とおれのPC、強羅神爾(ごうら・しんじ)と不思議な運命に囚われた一組の母子、そして長きを生きた竜のレムレスにまつわるお話だ。両方のセッションにそれぞれ別のPC関わっていたMKさんの方は今回はお休み。バディとして活動するようになった2人だけのお話となった。

なお、これまでのお話の概要は以前のレポートを参照してほしい(こういうことができる点でもnoteにレポート載せるほうが色々と便利。書くのに時間かかるけどね)。

絶望の輪舞曲
暴食の穴

1.プリプレイ


キャンペーンプレイに限らず、PC継続で遊ぶ場合には目に見えて楽になる部分がある。PCの自己紹介だ。セッションは一期一会、とは言うものの、PCの人となりを伝えるための作業は一気に少なくなる。

そして、そんなPCを作ったり紹介したりの作業時間を、キャンペーンの醍醐味たるPCたちの積み重ねのための時間にすることができる。

今回のPCたちは上級ルール採用による「信念」を新たに設定しながら、ハンドアウトで示されたNPCとの関わり、そして何より2人セッションなので相互に結ぶコネクションの周りをしっかりと積み上げていった。

▼強羅 神爾

ファフナー/パンドラ/クランの人造のドラゴン。PLはおれ。人類が自身をも滅ぼす力=核兵器を手に入れたとき、核汚染された竜の秘宝を元に制作された新世代のファフナー族。パンドラだしよく「メカゴジラ」と言われるが、今回内蔵装甲を取得したとはいえ基本的には生体パーツタイプだからね。

世間ズレしてたPCだったが、何度も遊んでいる中で世間ズレしたままずっと運用するのは難しい。このキャンペーンの中で助けることになった御鷹羽衣(みたか・うい)との関わりや、ともに戦う中でバディとなったクリスさんPCの赤願との関わりなんかがやっぱり大きい。

パンドラ(人形の一族)としてインストールされた本能は「過ぎたる暴力を振るうものを止める」というもので、人間のような善悪という価値感の外側から、結果としては同じことをしている、みたいな矛盾を孕みそれを自覚するキャラクターだったんだが、ヒロインを助けたりする中で「それでもヒーローをやっていい」とか言ってもらったりして少しずつヒーロー坂を上りつつある。

ただし口から吐くブレスは元ネタ同様の劇ヤバ白熱光(内的ダメージ)だ。

▼鬼頭 赤願

アームズ/モノケロス/デイリーライフな人間の女子高生。即死系神業2枚持ちもさることながら、体に流れる鬼族の血のために、怒りに囚われると我を忘れて暴走してしまう、という設定を持つ。それでも友達を守るためにレイヴンになる道を選び、レムレスと闘うことでより多くの人を守ろうとしている。それはある意味、自身の運命に抗う姿。

……デビューしたセッションも機会も違うのに、見れば見るほど強羅と対照的になったものだと思う。たまたま共演したセッションがそのままキャンペーンになるくらいには、二人で手を組んで面白い物語を生むタービンとなっていた。

前回のセッションまでに、
強羅→赤願「暴走したらオレが止めてやる」
赤願→強羅「それでもヒーローをやっていい」
とお互いを認めつつバディになって、なんかこうエピソード0的な馴れ初めとしては完璧な連作エンディングだったのだが……物語は続く。

▼コネクション


強羅からは、前回の流れから「恩人」で取得していた彼女へのコネを変更、「今回もしっかりは母子を守るRPをやっていく!」と意気込む赤願(のPL)の方も見ながら、「興味」でコネクションを取得。
「暴力の化身でありながら、それを人を守るためにだけ振るおうとする姿」への興味である。

そして一方の赤願からは「オレが止めてやる」に対する「信頼」が送られてきた。前回のセッションを着実な一歩にして、もっと大きい尺度での物語が進んでいく感覚はいつやっても気分がいい。コネ結びだけで既にわかる物語の厚みというやつだ。

そう、そして面白いことに今回はバディではなく両者ソロ(バディの場合は独自のバディコネクションを結ぶからね)。前回組んだはず!? とかでGMに質問飛ばせばよかったんだが、この段階でおれたちはGMの深慮遠謀に気づくこともなく、言われるがままにコネを結んだ。

まぁ、ハンドアウト的にも別々の導入だったからね。

2.メインプレイ

さすがに順を追って書くわけにもいかないのでダイジェストにて。

▼別々導入の見せたもの

さて、そんなわけでハンドアウトによって個別導入に分けられたおれたち。強羅の方は事件に関わるキャラクターにスポットが当たるかたちで『絶望の輪舞』事件の被害者親子を助ける過程で、その実行犯がかつての事件の首謀者たるファフナー族が率いていたパンドラ(機械)兵と同じだと気づく。演出変身に演出ブレスで雑兵を薙ぎ払ったところで、かつてのパンドラ兵の中でも指揮官型だった存在がゆっくりと現れ、過去の記憶を呼び起こされる強羅&ヒロインズ。

んー、劇場版続編って感じ!

一方の赤願の方は、ヴァルハラでの訓練のシーンから始まる。これがまた良い感じに後の伏線に使われる良いシーンで、GMたる猫屋敷さんの持ちキャラ、キャンペーンでも絶賛活躍中の狼谷との訓練シーン。
「攻撃ばっかりで守りが疎かだ……でも短所を伸ばすよりも長所を伸ばして、短所を補う仲間と組む方法もあるぜ?」みたいなアドバイスに、バディの強羅の話に転換。

おれは自分の居ない場所で自分のPCについて話題が出るのが何よりもスキなんだよね、これが。

からの、ヴァルハラでのエマージェンシー。そのまま狼谷と組んだ赤願は、呪詛反応のある場所へと向かった……そこは、『絶望の輪舞曲』事件の舞台となった(そして、何処へともしれない奈落へと消えたはずの)レムレスの居城があった場所。しかして、そこには再び、あのときの城が……!
城から現れるパンドラ兵たちと交戦に入るレイヴンたち!
…ということで、こちらは地縁から、かつての戦いを思い起こされる展開。

んー、劇場版続編って感じ!

こういう対になる流れ、これは来るぞ……って思ってたものが来た。

▼二面戦闘!

そう、同じシーンとして扱いながら別々の場所で互いに干渉できない状態での戦闘シーン!
範囲攻撃ブレスを得意とする強羅はともかく、単体大ダメージな赤願は複数登場したパンドラ兵モブ相手に複数ターンの戦闘を強いられてしまう。

……思えばこれも後にバディを組むことを見越した「負担の与え方」だったかもしれない。猫屋敷GMだからな。うん。彼はやる(コネクション:信頼)

▼合流シーンと情報収集

戦闘後、赤願チームはどうやってもかつてのレムレスの居城に近寄れず、何らかの仕掛けがあるに違いない、と一旦撤退。強羅のほうは忌まわしい過去の記憶に蒼白となっている母子を連れて、こちらもヴァルハラへ。
2人セッションだからこそとも言えるが、一戦交えるまで合流せず、という展開はちょっと新鮮だった。

合流後行ったのはお互いの情報交換と、いかにしてレムレスの居城に向かうか、そしてその居城の主は果たして、かつて倒したはずのレムレスなのか、というのが焦点になる。

2人プレイヤーだから大きい謎が2つ。この辺の切り出し方のウマさのお陰で、PL間のやり取りにしっかり時間が取れるんだよな。

結果、襲ってきたのはかつてのレムレス……ではなく、その呪素を受けてレムレスとなった配下のパンドラであり、その居城へと至るためには、かつてのレムレスが求めていたもの……現在は運命から解き放たれていたはずの母子を連れて行くことで、その門は自ずと開く、というのだ。

▼怒りの変化

その事をファフナー族の有力者(強羅はスタイル:クランなのでそういうツテがあるということで、名前も設定せずに登場してもらった)から聞いた強羅、普段のリアクションならまず間違いなく「そうか、なら連れて行こう。守れば問題ない」って言う役割のクールがズレたPCのハズなんだが、今回は違った。

「本気で言っているのか……!」と名前の設定されていないファフナーに詰め寄るように怒りを見せたのだ。

正直に言うとちょっとだけ「PCがPLの意図を超えて動いた」瞬間でもあった。その後に結果から考えてみて、あれは前回のセッションから続いていた「守るために戦っていい」という話からの繋がりだったんだなー、と理解できた。

周りからも「おぉ?」っと言われたことを振り返りつつ、こういう変化も良いものだ。

▼車は空を飛べない

……というのは赤願と二人のシーンで強羅が言ったセリフ。元ネタは「魚は空を飛べない」なんだけど、パンドラPCとして例えを機械のそれにしたかったのと、ビルの上から見下ろしたビジョンからの着想。

すなわち、作られた自分はどう背伸びしても、予め作られた範囲のことしかできない。造られた物の限界、みたいなおれのアンドロイド観。
本能として過ぎたる暴力を止めたいというだけでも、人を守る存在になって良いと言われても、2人を守りながら戦えるような存在にはなれないのかもしれない……みたいな弱音を赤願にぶつける強羅。
生来の力を抑え込みながら人を守りたいとう赤願との対称性なんかも見えてくるではないか。

赤願のリアクションはこうだ。
「でも、人は飛行機を作りました!」

ちくしょう、だから魚の例えのままのほうがよかったんだよ!

「……かなわないな」と返すしかない強羅。まぁ赤願のキャラに救われるべくして投げたボールだから全然問題ないんだけども。
そしてこれがまさかラスト戦闘であんな伏線になって襲いかかってくるとは思いもよらなかった。

▼決戦!

 そんなやり取りを経て、守るべき母子とともにレムレスの居城へ。
 迎え撃ちに出てくるレムレス兵を別働隊たるGMのPCとクリスのPC(NPCカメオ出演、この辺も長く遊んでると魅力になるよな)と協力して判定で躱しながら奥へと進む。

 居城の主たるパンドラは、主の命令ではなく、歪んだその願いを呪素の形で浴びて堕落した存在。城のパーツを引き寄せて、そのままミニチュアの城とも人ともつかぬ巨人へと変じる。

 ぶっちゃけ、このときの戦闘デザインが見ごと。
 2人PCがそれぞれに持ち味をしっかり出すデザインが秀逸だった。ダメージ軽減を使われると高火力の赤願でも撃破が難しいほどの防御力、それを上回るためには赤願の秘技〈†呼吸〉による追加行動が鍵となる。
 そしてその〈†呼吸〉を安全に使うためには、強羅のカバーリングが必須。
 戦闘デザインだけで、赤願のオープニングの伏線を拾ってみせたうえに、PCの持ち味をフルに引き出せるデザインは秀逸の一言である。
 
 ある意味で2人シナリオだからこそ、データにまでフォーカスした「遊び」として昇華したイメージだ。

 ……そしてレムレスは、おれの「車は飛べない」にまでブッ刺さる行動を取ってきた。
 こちらの防御力もさるもので、中々致命打を与えられないと見るや、わざわざメジャーアクションを使って次の攻撃ダメージをアップ!
 そこにつぶやいたクリス@赤願の追い打ち。「自己進化――?」

 レムレスだからね! 機械で出来たパンドラでも戦闘のなかで進化するよね! まさかセッション中に交わしたやり取りをこんな形で回収されるとは。

「望んで、超えられるというのか、お前は」などと、己を越えようとする機械の姿を前に出た言葉は羨望か感嘆か。レムレスだから成し得た、という解釈も成り立つシーンながら、同じ「竜族に作られたパンドラ」というGMの仕込んだ一番最初のシンメトリーが美しく崩れる瞬間を見た。

ほんと、今回のセッションはどこまでも仕込みがきれい。
(だからこそ偶然の産物まで設えたように配置されていくのが心地よい)

さて、そんな大激戦を経てのエンディングである。

▼核エネルギーから生まれた人造竜のおれがキレカワ角っ娘とバディ結成したと思ったらJCサキュバスに告られ不器用すぎて生きていくのがつらい

 というエンディングがあったのさ。
 助けた母子の娘のほう、以前のセッションでもコネクション(このゲームでは厳密に言うと”関連項目”だが)を持ち、デートっぽいエンディングなども向かえていたわけだが、今回のセッションで普通に「好きです」と告白されるに至ったわけで。

「すまない、おれの気持ちがわからない」
などと、困惑を隠さずに返すしかなかったおれのPCは機械生命系キャラクター。相手は感情の受信に長けたナイトメア族の血を引いているからねー。マジでコンフュージングしてるのがわかったのか、「負けませんから!」などと言ってその場を去っていくのだった……

ここで、蛇足感満載にも関わらず、おれの血が騒いでしまう。

エンディングシーンでバディの赤願とお互いの労をねぎらうシーンを作ってもらったあげく、その場で「(例の娘に)”好き”だと言われた」とまで普通に喋ってしまう。これには赤願も困って、ドタバタとしたラブコメ展開のエンディングでシメとなった。

まぁある意味、動揺させられっぱなしのPLの立場として、朴念仁キャラクターを貫くことでなんとか立て直しを図ろう、という意図があったのだが……。

結果的にかなりゲスい事をしてしまったと反省しきり。

やはり人間、慌てるとロクなことがないネ!

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