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日本全国写真紀行

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取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。
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#ふるさと

【日本全国写真紀行】33 山形県東置賜郡川西町玉庭

山形県東置賜郡川西町玉庭 田園と茅葺民家、忘れ得ぬ農村の原風景 何気なく通りかかった場所で、忘れられぬ風景に出会うことがある。山形県川西町の玉庭という小さな農村集落は、そんな場所の一つだった。点在する茅葺民家と広がる田園風景、その見事な構図にしばし時間を忘れて見入ってしまった。  川西町は、山形県南部、置賜盆地のほぼ中央にあり、人口約15,000人の小さな町である。この町の南、米沢市と隣接するのが玉庭地区である。  玉庭地区を走る県道八号線を米沢方面へ南下していた。玉庭小学

【日本全国写真紀行】23 東京都西多摩郡檜原村

東京都西多摩郡檜原村東京とは思えない山間の風情ある里東京に檜原村という村がある。島嶼部をのぞけば東京唯一の村で、都の最西端に位置し、約2,000人の人々が暮らしている。多摩川の支流である秋川の上流にあるため、村のほとんどが山林で占められており、江戸時代にはその資源を生かして、江戸の木材供給地として繁栄した歴史をもつ。 ※『ふるさと再発見の旅 関東』産業編集センター/刊より一部抜粋 他の写真はこちら↓でご覧いただけます。

【日本全国写真紀行】21 茨城県常陸太田市

茨城県常陸太田市 七つの坂と路地を楽しむぶらり歩きの街茨城県北部にある常陸太田市に、鯨の形状をした丘がある。かつて、この地を支配した戦国大名佐竹氏はこの丘に町をつくり、太田城の城下町をつくりあげていった。 その後、江戸時代に佐竹氏が秋田へ国替えになると、城は廃城となり、当然のことながら城下町も廃れていくかと思われた。ところが、その町は水戸と福島の棚倉を結ぶ棚倉街道がとおり、さらに水戸や那珂湊へ送る物資の集積地だったため、商家が林立する商家街に生まれ変わっていった。それが鯨ヶ

【日本全国写真紀行】18 兵庫県神戸市北区

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 兵庫県神戸市北区 農村歌舞伎舞台が数多く残る美しい農村 神戸市北区は約700棟の茅葺きの民家が残っており、そのなかでも貴重の民俗文化財である農村歌舞伎の舞台が多く保存されている。 他の写真はこちらでご覧いただけます。 江戸時代から伝わる「地歌舞伎」の歴史をたどり美しい村里の旅を楽しむためのトラベルガイド 大人

【日本全国写真紀行】17 東京都品川区北品川・東品川

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 東京都品川区北品川・東品川 旅人の思いが交差する江戸の玄関口 日本橋から約8km、東海道第一の宿が品川宿である。「お江戸日本橋七つ立ち〜」と唄われたように、夜明け前に日本橋を出た旅人たちが、昇る朝陽を見ながら江戸に別れを告げる場所でもあった。 旅人を見送る人、迎える人で品川宿は一日中にぎわいを見せ、江戸においては

【日本全国写真紀行】16 鳥取県岩美郡岩美町網代

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 鳥取県岩美郡岩美町網代 山陰地方の古い漁村の風情が今も残る漁師町  山陰地方を代表する冬の味覚といえば「松葉ガニ」である。日本海の荒波に揉まれて育った蟹は身がひきしまり、ほぐれた蟹肉を口に入れればほどよい甘さが広がる絶品だ。漁期は十一月初旬から三月中旬まで。この四ヵ月間、日本海に面する県東部の町岩美町は全国の美食

【日本全国写真紀行】 15 山口県熊毛郡上関町祝島

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 山口県熊毛郡上関町祝島 霊光を発して船の危機を救ったという神霊の島  祝島は周防灘に浮かぶ周囲12キロ、面積7.67キロ平方メートルの小さな島である。地図で見ると周防灘には数多くの島があるが、ハート型の可愛らしい形をしているのですぐにわかる。  祝島というめでたい名にはもちろん由来がある。古代からこの島は交通の要

【日本全国写真紀行】 14 岡山県倉敷市本町

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 岡山県倉敷市本町 <重要伝統的建造物群保存地区> 倉敷市倉敷川畔  古くから運河として活用された倉敷川を中心に広がる伝統的な町並みが倉敷美観地区である。寛永十九(1642)年に幕府の直轄地となり、倉敷代官所が設置された。以降、備中国の年貢米や農産物が集散する商業港としての役割を担い、経済的に繁栄した。やがて富を蓄

【日本全国写真紀行】 13 岡山県苫田郡鏡野町奥津

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 岡山県苫田郡鏡野町奥津 藩主が鍵をかけて入った「殿様の湯」、今は誰でも入れます 奥津温泉は、岡山県北部の鏡野町にある温泉で、湯郷温泉、湯原温泉と並ぶ美作三湯のひとつ。「奥津」の名の由来は、高瀬舟が訪れていたことから。「奥まった場所だが船が出入りする地」という意味でつけたれた名だという。 江戸時代には津山藩の湯治場

【日本全国写真紀行】 12 広島県豊田郡大崎上島町木江

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 広島県豊田郡大崎上島町木江 潮待ち、風待ちでにぎわった港町。 今も色濃く残る遊郭のあと。 大崎上島は竹原港からフェリーで三十分、瀬戸内海西部の大小数百に及ぶ島々で構成される芸予諸島の一つに数えられる離島である。 その玄関口、木江港は、深い入江を持つ天然の良港だ。享保年間(1716〜36)頃から沖を通る沖乗り航路の

【日本全国写真紀行】 9 山梨県甲州市塩山松里

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 山梨県甲州市塩山松里 鮮やかな夕陽色の簾をまとう干し柿の里 古の風情を今に伝える古寺や古民家が数多くあることから、甲州の鎌倉ともいわれる塩山。。この塩山の中でもひときわ深い歴史をもつのが松里地区である。武田信玄の菩提寺となっている恵林寺や武田家と縁ある放光寺など、見応えのある寺が往時のままに残っている。 だが、松

【日本全国写真紀行】 8 新潟県村上市村上

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 新潟県村上市村上 吊るし鮭が冬の訪れを告げる城下町 江戸時代、村上城の城下町として栄えた村上。出羽街道や三国街道などの宿場町、さらには北前船の寄港地にもなり、県北随一の町として歴史を刻んできた。今も残る多くの史蹟や建ち並ぶ古い家屋に往時の面影を偲ぶことができる。 そうした歴史もさることながら、この町を語る上で欠

【日本全国写真紀行】 7 神奈川県小田原市

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 神奈川県小田原市 北条氏百年の栄華を支えた城下町  船渡しではなく、人足の手による“徒歩(かち)渡し”の難所として知られた酒匂(さかわ)川。その川を渡り、さらに半里ほど歩いたあたりが小田原宿の入口である。  小田原といえば戦国大名北条氏のお膝元。初代北条早雲が1495年に入城してから、秀吉の小田原攻めによって15

【日本全国写真紀行】 6 香川県小豆郡(小豆島)

取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。 香川県小豆郡(小豆島) 伊勢参りのみやげだった農村歌舞伎  さて、奈良の都からそうめん技術を持ち帰ったその約百年後、新しもの好きな小豆島の人々は、同じ伊勢参りの帰郷みやげに、今度はなんと上方歌舞伎を持ち帰ったのである。  伊勢に向かう途中、悪天候で船が出ず、大阪で船待ちしていた島民たちが時間つぶしに見物したのが上