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日本全国写真紀行

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取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。
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2023年7月の記事一覧

【日本全国写真紀行】 50 佐賀県小城市小城

佐賀県小城市小城 砂糖の道、長崎街道沿いの羊羹の町 江戸時代、長崎の出島と北九州の小倉を結んでいた長崎街道。鎖国下にあって、出島は海外との唯一の窓口であり、さまざまな舶来品が出島に荷揚げされた。それらのひとつに砂糖がある。砂糖は、長崎街道を通って京都や大阪、江戸など全国に広がり、それにともなって砂糖を使った菓子づくりの技術も各地に広まっていった。特に長崎街道沿いの町では、その風土にあったお菓子が数多く生まれた。  例えば、長崎市のカステラ、嬉野市の金華糖、佐賀市の丸ぼうろ、

【日本全国写真紀行】49 福岡県北九州市八幡西区木屋瀬

福岡県北九州市八幡西区木屋瀬 木屋瀬宿に泊まり異国で果てた、ある白象の孤独な生涯木屋瀬宿は、長崎街道の宿場町「筑前六宿」の一つで、長崎街道と赤間道との追分の宿として栄えた町である。長崎街道は、江戸幕府唯一の開港場だった長崎と小倉を結ぶ脇街道。世界からの文物や情報を全国に伝える、重要な役割を担った街道だった。  宿場は約1100メートルの街道で、裏通りの全くない一本道。中間にある本陣付近で道は「く」の字に曲がり、家並みはノコギリの歯状に建てられている。「矢止め」といわれる、敵