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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2022年10月の記事一覧

「全国最中図鑑」38 甘ほたて(岩手県大船渡市)

大船渡は海と山が近く、山の雪解け水が海に流れ込んで海中のプランクトンがよく育つ。そのプランクトンを食べて育った帆立は、大粒で肉厚、帆立本来の味が濃く、甘味が強いのが特徴である。 その大船渡の帆立をモチーフにした最中が「甘ほたて」。クルンとした可愛い帆立貝の形の皮に、羽二重粉で作った求肥とつぶあんが入っているが、求肥は帆立の貝柱を表現しているんだそうである。和菓子と海の幸との組み合わせは一見ミスマッチのように思えるが、食べてみると、ぽってりとした皮と柔らかい甘みの餡がうまく溶け

「全国最中図鑑」37 大曲花火男最中(秋田県大仙市)

『大曲の花火』は、1910(明治43)年に諏訪神社の余興として開催された「奥羽六県煙火共進会」がその始まりである。100年以上の歴史を誇り、毎年70万人以上の観光客が集まる、日本最高峰の花火大会だ。 この長い名前の最中は、その花火を応援する非公認キャラクターである『大曲花火男』を、可愛らしい和菓子にしたもの。 花火男のキャラは、人気漫画『猫ピッチャー』で知られる有名な漫画家そにしけんじ氏が描いたもので、ユニークな形のその皮に、自分で餡を詰めて食べるスタイルの最中だ。 餡は北海