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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2022年7月の記事一覧

「全国最中図鑑」32 虎朱印最中(神奈川県小田原市)

2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、源頼朝を陰で支えて鎌倉幕府の創立に大きく貢献し、頼朝の死後は幕府の実権を握って執権政治を行った北条義時の物語である。 その北条氏の名跡を継承した小田原北条氏(後北条)は、家印(公印)として「禄寿応隠」という文字の上に虎を置いた「虎朱印」を使用していた。なぜ虎だったのかは定かではないが、戦国大名は印章に虎や馬・象・獅子などの動物を描き、それに各々の印文を刻して個性を主張することが多かった。北条氏はその先駆けだったと言われている。 「禄

「全国最中図鑑」31 軍艦島もなか(長崎県)

中が空洞になった不思議なおまんじゅう『一○香』で知られる茂木一まる香本家には、『軍艦島もなか』というユニークな最中がある。 軍艦島は小さな海底炭鉱の島で、2015(平成27)年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」で世界遺産に登録された。正式名は「端島」。岩壁が島全体を囲い、鉄筋コンクリートの高層建築が建ち並ぶ外観が軍艦「土佐」によく似ていたところから、「軍艦島」と呼ばれるようになった。 その軍艦島をかたどったこの最中、見かけはちょっとハードな感じだが、外は