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全国最中図鑑

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途…
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2021年10月の記事一覧

「全国最中図鑑」13 貝がら節もなか(鳥取県鳥取市)

鳥取市の浜村海岸では、昔、板屋貝が大量に獲れていた時期があった。その頃、漁師たちが作業しながら唄っていたといわれる民謡「貝がら節」。板屋貝の不漁と共に忘れられていたが、昭和初期の民謡ブームを受けて復活し、また地元で歌われるようになった。 浜村温泉「貝がら節の里 旅風庵」から徒歩10分ほどの場所にある菓子店みどりやが、この歌にちなんだ最中を売り出した。皮は二枚の貝合わせの形になっていて。小倉あん、生姜味の白あん、柚子あんの3種類の味がある。3種ともそれぞれ個性を生かした味だが、

「全国最中図鑑」12 とおあし最中(群馬県安中市)

安政2(1855)年、安中藩主板倉勝明は藩士の鍛錬のため、藩士98人に安中城の城門から碓氷峠の熊の権現神社まで、7里の道の徒歩競走を命じた。「とおあし」と呼ばれたこの競走は、日本におけるマラソンの発祥といわれている。 2019年にはこの史実をもとに映画「サムライマラソン」が作られ、安中のとおあしは全国的に知られるようになった。 この出来事を最中にしたのが、安中市の小野屋が製造販売している「とおあし最中」。安中藩の家紋「左三つ巴」を配した皮に小豆あんと白あんを包んだ、サクサクと