【生理学】図解イラストとゴロ合わせで簡単「心周期」の覚え方
【2021/07/31 更新】このアカウントは鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・言語聴覚士などの国家試験対策の覚え方のコツ・ノウハウ・ゴロ合わせなどをお伝えしています。
こんにちは!
オンラインで試験対策を学ぶなら森元塾 塾長 です。
今回は心臓の生理的な働きについて勉強をしていこうと思います。
【生理学】心周期とは
心臓は自分の意思にかかわらず、自動的にある一定の動きを繰り返しながら血液を全身へと運んでいます。その一定の動きの中でも規則正しい周期があるのでそれを「心周期」と言います。
鍼灸師の教科書にはこのように表記があり、覚えるのは以下の四つ。
【心周期について】
1、等容性収縮期
心室の収縮が始まってから動脈が開くまで
2、駆出期
心室の内圧が上がって動脈弁が開き、内圧が下がって動脈弁が閉じるまで
3、等容性弛緩期
動脈弁がしまってから、房室弁が開くまで
4、充満期(流入期)
房室弁が開いて、閉じるまで
心周期を説明する前に
この一連の流れをわかりやすくするために簡易的なイラストを作ります。
ここでは房室弁も動脈弁も下記のようになっており、肺動脈・大動脈への正確な位置関係は無視します。
この簡略されたイラストを用いることで心周期の説明はとても簡単にお伝えすることができます。
心周期「等容性収縮期」
等容性収縮期はまず、心房から来た血液が心室に入った後、心室が収縮し始めた状態です。終わりは「動脈弁」が開くまでです。
【等容性収縮期のポイント】
▶房室弁:閉鎖
▶動脈弁:閉鎖
▶心室内容積:一定
▶心室内圧:上昇
【心室内圧と動脈圧の関係】
▶︎心室内圧:心室内圧 < 動脈圧
心室内圧の圧の方が低い状態です。これが動脈圧よりも心室内圧が高くなると次の駆出期に移動します。
「等容性」というキーワードが出てきたらそれはどの弁も閉じているというキーワードだと思ってください。
主語はどの周期でもいつも心室です。心室の内容積がどうなのか・心室の内圧がどうなのかが問題となります。
内容積は例えを出すと、マヨネーズの容器を思い浮かべてください。
使いかけのマヨネーズには適度なマヨネーズと適度な空気が入っています。
それをグーッと押しても蓋が閉まっている間は空気の量もマヨネーズの量も変わらないですよね。
心臓でも同じで、蓋が閉まっているときはいくら圧をかけても中の容量自体は変化ありません。
逆に、心室内圧は別です。蓋が閉まっている間は圧力が高まっていくので上昇します。
心周期「駆出期」
心室が収縮して行き、圧に耐えきれなくなって動脈弁が開いた状態。
心室から押し出す圧力と動脈から逆流しようとする圧を比べて行き、心室から押し出す圧が動脈の圧に負けると弁が閉じます。閉じるまでが駆出期です。
【駆出期のポイント】
▶房室弁:閉鎖
▶動脈弁:開放
▶心室内容積:変化
▶心室内圧:低下
【心室内圧と動脈圧の関係】
▶︎心室内圧:心室内圧 > 動脈圧
心室内圧が動脈圧よりも高くなっている状態です。
駆出期では動脈弁が開いています。
はじめは勢いよく血液が体中に流れますが、心室の圧は血液を出せば出すほど弱まっていきます。そして大動脈自体の血液が心臓に戻ってくる力よりも弱くなった時、逆流を防ぐために弁が蓋をします。
先程のマヨネーズの例えを駆出期でも利用します。
蓋をガッツリ締めていたら問題ないですが、蓋を軽く締めただけの状態ではある一定以上の力で押すと蓋がとれ、中のマヨネーズが飛び出します。
心臓も同じように動脈の圧を超えるほどの圧が加えられたときに弁が開きます。
心臓はマヨネーズの容器よりもハイテクなので、心臓自体の圧力と動脈の圧の差によってまた弁は閉じます。
心周期「等容性弛緩期」
実際にはイラストのようにこんなに綺麗に血液は分かれていませんし、形も変わって心室は収縮しきって小さくなっています。
収縮しきった心室が弛緩しながら次の準備をする期間です。
【等容性弛緩期のポイント】
▶房室弁:閉鎖
▶動脈弁:閉鎖
▶心室内容積:一定
▶心室内圧:低下
【心室内圧と心房内圧の関係】
▶︎心室内圧:心室内圧 > 心房内圧
先程までは心室内圧と動脈圧を比べていましたが個々からは心房と比べています。この状態は心室内圧が心房内圧よりも高い状態です。心房内圧の方が高くなれば弁がひらき次の充満期に移ります。
「等容性」というキーワードが出てきたらとりあえずすべての弁が閉じているということで認識して頂いてると思います。
今回も例外なく閉じている状態です。
いつもどおりマヨネーズの容器を例えにしていきます。
残り少なくなったマヨネーズのフタをして膨らましていくようなイメージです。マヨネーズ自体の中身の量は変わりませんが、容器の面積は大きくなります。その結果内圧は低下して行きます。
蓋をしていると膨らみにくいですが、それでも無理やり引っ張って容量を大きくさせようとすると、中の密度が小さくなるのはイメージできますでしょうか。
心周期「充満期」
心室が広がっていくと、心室の中の圧よりも心房の圧の方が強くなって行きます。すると房室弁が開き、血液が心室へと流れて行きます。
【等容性弛緩期のポイント】
▶房室弁:開放
▶動脈弁:閉鎖
▶心室内容積:変化
▶心室内圧:上昇
【心室内圧と心房内圧の関係】
▶︎心室内圧:心室内圧 < 心房内圧
心室内圧が心房内圧よりも低い状態です。心房内圧とおなじになるか、高くなるまで弁は開いていきます。
心室に血液が「充満」していく時間です。
心房に溜まって来た血液を心室に流し込むので、どんどん容量は増えていきます。すると、心室内圧は初めは少なかった状態からどんどん増えていき、心房の内圧と同じ、もしくは大きくなったタイミングで弁が閉じます。
そしてはじめの等容性収縮期に戻ります。
心周期の速度について
心拍数はだいたい1分間に60から75回程度のあります。
上記に記載したのは1分間に75回心拍がある場合の数字です。
人によって異なりますがおおよそ1秒にも満たないと覚えておくと良いと思います。
心周期に伴う「心音」
心周期と切っても切り離せないのが、この心音です。心音は心周期の動脈弁の閉鎖音や房室弁の閉鎖音の際に聴診できるものです。
一般的に心臓の音を「ドックン」と表現されますが、あの音が心音です。
【心音と聴診部位】
▶第1心音:房室弁の閉鎖音・心尖部で聴取
▶第2心音:動脈弁の閉鎖音・心底部で聴取
▶第3心音:心室へ流れる血液の音・心尖部で聴取
大事なのは第1音と第2音がどちらの閉鎖の音で聴取できる部分がどちらかということです。
心臓は身体の下が心尖部で身体の上が心底部です。
動脈弁の位置と房室弁の位置を考えると動脈弁は心臓の上の方にあるので心底部で聞こえるというのはわかりやすいと思います。
【心音と心周期の関連】
▶︎第1心音:房室弁の閉鎖音 【充満期】
▶︎第2心音:動脈弁の閉鎖音 【駆出期】
▶︎第3心音:血液流入音 【駆出期】
各心音の詳細を下記にまとめて起きます。
【第4心音(Ⅳ音)】
健常者では聴取されない
心房収縮により心室へ駆出された血流が心室壁で急激に阻止された音
病的心臓において診断的価値はⅢ音より大きい。
心室拡張末期圧上昇時に聴取されやすい
▶肺高血圧症
▶大動脈弁狭窄症
▶虚血性心疾患
▶心筋炎
▶心筋症
心音「第1心音」
【第1心音の特徴】
■低い周波数:30-45Hz
■房室弁の閉鎖音
■心尖部:心臓の下部先端
主に房室弁の閉鎖音で間違いないんですが、筋の収縮音や動脈内の渦流なども影響があります。
心音「第2心音」
【第2心音の特徴】
■高い周波数:50-70Hz
■動脈弁の閉鎖音
■心底部:心臓上部の大血管が出入りする部分
動脈弁の閉鎖音以外に、動脈壁の振動とも関係があります。
心音「第3心音」
【第3心音の特徴】
■かすかに聞こえる
■心室への血液流入音
■心尖部
心周期と心音のまとめ
学生の中には「>」「<」という関係性を表す記号が苦手な方がいます。
そういう方はイラストでイメージしてもらってもいいですし、このノートでお伝えしているマヨネーズの例えを思い出してもらえたら思い出しやすいと思います。
国家試験でも定期試験でも迷ったら心臓の簡易イラスト書いて、今どういう状態なのかを記入していけば答えにたどり着けると思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
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