自律分散型授業
先日、オンラインで「自律分散型授業」と題する講座に参加した。
この語は経済用語らしく、主催者の造語とのことだけれど、意味はしっかり伝わる。
最近教育雑誌などによく出てくる「個別最適化授業」と表現すれば、ピンとくる方もいらっしゃるだろう。
私の勤務校にいる同僚が、「もう一斉授業は限界」と話している。
私もそうだと思う。
でも、現在の教育カリキュラムだと、やはり一つの教室で同じことをやる以外、授業の方法は見つけにくい。
見つけにくいが、できないとは言っていない。
かといって、うまくいく保証はないのだけれど。
コロナ禍で臨時休校を余儀なくされ、前倒しされたGIGAスクール構想。
そのため、急激にPCの「一人一台」が進み、ICTの活用について議論されるようになった。
むろん、ICT活用が目的ではなく、「個別最適化」することが目標であり、PCを使っていかに主体的で深く学ぶかを考えなければいけないのだが。
今月7月になって始めたのが、3パターンを同時にやる授業。
授業目標やゴールは一緒だけれど、それを学ぶプロセスは違うというコンセプト。
生徒に事前に要望を訊き、ソロ・ペア・グループの3形態で、同じゴールに到達する。
一人でやる方が集中できて進みやすい人は、何も無理にペアやグループワークをしなくてもいい。対話しながら互いの考えを吸収しながら、学習したいと思うなら、そうすればいい。
社会は「コミュニケーション能力」を求めているけれど、「それだけ」を追求すると息苦しくなる。そんな生徒もいるのは事実。ならば「個別」に好きなスタイルでやればいい。
それが私の結論だ。
でも今回のオンライン講座は、ゴールさえも別々でいいという提案だった。
そういえば、昨年参加したオンライン講座で、解く数学の問題を、自分の能力やモチベーションに合わせてどのレベルまでやるかを選択し、そこまで授業中にやればOKというスタイルがあった。
オンライン講座が終わって約一週間後、主催者から次のようなメッセージが届いた。賛否両論あるだろうが、参考までに紹介しておこう。
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◆一般的な授業◆
先生が教える 生徒は聞いてる(教えられる)
↓
時々小テスト(わかったかどうかの確認)
↓
定期テスト
(家庭で生徒に単元の復習をさせる)
(定着度の確認)
(生徒の心理的負担)
(先生の多忙化)
(先生と生徒の上下関係が固定化=「評価者-被評価者」)
◆自立分散型授業◆
生徒が最初から自分で考え自走する
・新しい単元内容も自分たちで設定
・自分の目標も各自設定
・自分がどうしたいかも自分で考える
・途中途中で自分の様子を感知し軌道修正もする
先生は必要な場面でのみ
必要な相手に対してのみ「応援」
↓
毎時の授業終わりに、生徒相互でその日学んだことを言語化する(自分の言葉にする)
+ 自分への振り返り
+ お互いに共有(承認)し合う
↓
単元終わりに、その単元全体を自分の言葉で言語化し、あるいは図化して生徒相互で共有する。
そうすると、「教科書の言葉」「先生の説明」という一元的な表現ではない、生徒の数だけ多元的なその単元の表現(視点)を、全生徒が共有することができる。
「その単元を自分の言葉で表現・説明できる」
=「その単元を人に教えることができる」
↓
よって、定期テストはいらない。
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ふむふむ。面白い!
私が担当している「世界史」や「倫理」で同じような設定ができるのか、夏休みをかけてじっくり探り、準備してみたい。
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