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AMI 6−12 歳 オリエンテーションコースを受けて

みなさんこんにちはモンテッソーリ・ファームです!
スタッフの一人がモンテッソーリ教育6-12歳のオリエンテーション(アシスタント)コースを修了したので、今回記事でご紹介いたします。興味のある方は是非ご覧ください。


はじめに

はじめまして。私は日本モンテッソーリ総合研究所の 3−6 歳の教師資格を持つ古賀久美子と申します。

モンテッソーリ・ファーム スタッフ古賀久美子先生  日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師(3-6歳) AMI Elementary Orientation Course修了(Houston Montessori Institute ) 2児の母、看護師、保育士。 西高根モンテッソーリ子どものいえ代表。

今回 2022 年 6 月 6 日から 6 月 16 日の間、オンラインで AMI 6-12 歳オリエンテーションコースを受講しました。その様子をお届けします。

モンテッソーリ教育との出会い

私には息子が 2 人います。長男は中学 3 年生。次男は小学 4 年生になりました。長男が3歳の時に偶然手にした相良敦子先生の著書「ママ、一人でできるように手伝ってね!」からモンテッソーリ教育の存在を知りました。

大人が子どもに何かを教え込むのではなく、子どもが自ら育つ力を存分に発揮できるよう環境を整えるという子どもを尊重する教育方法が我が子には合うと直感しました。 その当時は、モンテッソーリ教育に関する情報が今ほどあふれていませんでしたので、私もモンテッソーリ教育は 3−6歳の敏感期のある間に行う幼児教育だと思い違いをしていました。

6歳になる前になんとか息子にモンテッソーリ教育を受けさせたいと思いましたが、通える範囲にモンテッソーリ園も教室もなかったため、親である自分が学ぶしかないと考え子育てしながら通信教育で学べる日本モンテッソーリ総 合研究所の 3−6歳の教師養成講座を受講しました。

はじめは息子たちのために、少しずつ教具を揃えたのですが、すぐに2人のためだけではもったいないと思うようになりました。

私がモンテッソーリ教育を求めたように、他にも探している方がいるのではないかと感じて、自宅に息子たちの友達を誘い、とても小さな教室をしていました。

徐々に教具が自宅に収まりきらないほどになったた め、2019 年に館林に中古の一軒家を購入し子どものいえを始めました。 2021 年には 13 人の卒業生を送り出すほどになりました。

モンテッソーリの小学校教育への興味

その後、卒業生の保護者の方から6 歳以降も子どものいえに通わせてほしいとリクエストがありました。もちろん私Elementary(6-12 歳)の教師の資格がないことを承知の上でのリクエストでした。

今は6歳以降も続くモンテッソーリ教育の存在を知り、いつかはそれを学びたいと思って いるのですが、家族と離れて海外で暮らし、長期に渡るディプロマコースのトレーニ ングを受けるまでには至っていません。そのような状況で小学生のクラスを始めるにあたり、6 歳以降のモンテッソーリ教 育について、日本でなんとか学ぶ方法がないかと模索していた時、0−12 歳のモンテ ッソーリ教師であり、モンテッソーリ・ファーム代表でもある、あべようこ先生にたどり着きました。

AMI6-12歳の資格者である、あべ先生を講師としてお招きし、グレートレッスンや小学生の教具の概要を紹介していただきました。同じモンテッソーリ教育でも 6−12 歳には 3−6 歳とは違う側面があり、それを知ることは私にとって目から鱗が落ちるようでした。 そして 6−12 歳のモンテッソーリ教育を学びたい気持ちがより強くなりました。

そのご縁から、現在はモンテッソーリ・ファームのサポートスタッフとして教材作りや季節講習の教師として関わらせていただいています。

モンテッソーリ・ファーム の 5 月オープン準備がひと段落した頃、AMI のホームページで 6 月から受講できる 6 −12 歳のオリエンテーションコースがあることを知りました。オリエンテーションコ ースはディプロマコースとは違い、期間も費用も現実的で、今の生活を続けながら学 ぶことができるため、英語と時差への不安はありましたが、やらずに後悔するよりも やってダメな方がマシだと考え、迷うこと無く申し込みをしました。 


6−12 歳 オリエンテーションコースの事務手続き



私が選んだのは、ヒューストン・モンテッソーリトレーニングセンターでした。一 番早く始まるコースがそこだったからです。まず、トレーナーによるオンラインの説明会を聞いて、トレーナーの英語が聞き取れ、理解できるか確認しました。その時ト レーナーのアナ・カミラから「コースの間は私ができるサポートはすべてします。」と言ってもらい、申し込みを決めました。

申込書の記入と授業料$900 の支払いをすれ ば入学手続き完了です。 その後のメールで提出書類が2枚届きました。1つは学生情報フォームでそこには 「入学が AMI の証明証(サティフィケーション)を受け取ることを保証していませ ん。」と明記されており、その下に自分の名前、その下に、受講動機や子どもと働いた 経験の記入をする場所がありました。

もう1つは AMI 証明証の発行の要件が書いてありました。それを読んで内容を理解したらサインをして返信します。6−12 歳のモンテッソーリ教育の基礎となる基本的 な原則を理解している人と認められる証明書が発行されるための要件は次の4つでし た。

講義の90%以上の出席 ・与えられたトピックから、500字以上のレポートを3つ提出 ・9 時間の観察実習とその記録の提出 ・コース中に実施する教材制作の提出 この2枚の用紙に関しては、その後受講した(2022 年 11/1-12/8)の AMI 0−3 歳モンテッソーリオリエンテーション(あきる野トレーニングセンター)でも同じ用紙を提 出しました。

コース開始前に準備しておくものについてもメールがありました。特別に準備したものは、2m の細いリボン、編み針、毛糸、刺繍糸、ロングソックス、ボタン、カリグラフィーマーカーでした。いずれもコース中の制作に使用しました。課題図書は以 下です。

・Citizen of the World
・From Childhood to Adolescence
・To Education the Human Potential
・Education and Peace
・The Formation of Man

これらの図書は AMI の Website や Amazon で購入できますが、到着まで時間がかか りコース開始日に届くかどうかという状況でしたので、本を注文した後に数冊は Kindle 版も購入してすぐに読み始めました。個人的にはやはり紙の方が読みやすいと 感じます。

いよいよコース開始:時差



ヒューストンの時差は−15 時間。講義は現地時刻 8:30-12:30 でしたので、日本で は真夜中の 22:30-2:30 になります。この時差については悪い面だけではなく良い面も ありました。もし、昼の開催だったら仕事や家事があり参加することはできませんで した。真夜中なら仕事の予定もなく、家族が寝ている時間に静かに集中して講義を受 けることができました。悪い点はまとまった睡眠時間が取れないことでした。10日 間連続開催(日曜日だけお休み)だったので、ノンストップで走り抜けた10日間と なりました。


<コース中の私のスケジュール>
5:30 起床 朝食・お弁当準備、出勤準備

7:00-9:00 2 時間の自主勉強(課題のビデオを見たり宿題をする)

9:00-16:00 子どものいえや保健センターで仕事(昼休みに仮眠③12:15-12:45)

16:00-20:00 買い物、夕食準備、息子の習い事の送り迎え、夕食と入浴

20:00-22:00 仮眠①

22:30-2:30 オンライン講義

3:00-5:30 仮眠②

コース中の睡眠時間は仮眠①+仮眠②+仮眠③の合計 5 時間でした。それでもやりたいことをやっているので、疲労よりも学ぶ楽しさの方が優っていました。

いよいよコース開始:英語


このコースでは受講者の英語力がどれくらいという明確な基準はありません。6−12 歳のモンテッソーリ教育に興味がある人ならどなたでも受講できます。私自身〇〇テ ストが何点とか、〇〇検定○級などの物差しを持っていないので自分の英語力がどれ くらいなのかはよくわかりません。 英語の経験といえば 2005 年-2006 年にアメリカのオレゴン州ポートランドで看護留学をしました。

帰国後も1回/週 1 時間の英会話のレッスンを9年間続けました。

コースの講義中は携帯の翻訳アプリのマイクをオンにして、先生の話は文字にして英語の字幕のようにして、耳と目で内容を確認していました。ヒューストンという場所もあり受講生同士のグループでの話し合いの時は、スペイン語やフランス語も聞こ えたりして、話が理解できない場面もありました。

また私の英語を聞き取れる人と、 全く聞き取れない人もいました。ゆっくり話してもらうようお願いしたり、聞き取れ た人が聞き取れない人に通訳してくれたり、他の受講生にも助けてもらいなんとか全ての講義と話し合いに参加することができました。

500字のエッセイについてなのですが、フォントのサイズや行の間隔などとても 10 詳しく書き方を指定されていました。参考文献の書き方も指定がありました。英語と いうよりは、このアカデミックな書き方に馴染みがなく難しかったので、高校の英語の教師をしていた友人にエッセイの書き方の書類を一緒に見てもらい、理解できるよ うに日本語でその内容について補足してもらいました。エッセイ自体は500字以上 という指定でしたが、書き始めると500字はすぐに超えるトピックばかりでした。


いよいよコース開始:制作


コースの中でたくさんの手仕事をしました。例えば編み物の編み目、フレンドシップリストバンド(ミサンガのようなもの)、カリグラフィー、靴下を使った人形作り、 ミニノートブックです。

私は初めて編み物をしたのですが、思いのほか夢中になって やめられなくなり、新聞配達来るまで編み物を続けた日もありました。

講義の内容

AMI 6−12 歳のオリエンテーションコースは、モンテッソーリ教育の基礎となる 基本的な原則の理解を深めることを目的としています。提供についての講義はありま せん。10日間の講義は以下でした。

・マリア・モンテッソーリの人生と仕事
・0-24 歳までのモンテッソーリ教育の発達観
・観察
・0-12 歳の特徴
・コズミックエデュケーション
・大人の役割
・グレートストーリーとキーレッスン
・環境の準備と手入れ
・人間のニーズと傾向性
・社会的及び道徳的発達
・自由と責任
・想像力

AMI 6-12 歳オリエンテーションを終了して


モンテッソーリ教育はどの年代においても、子どもを観察すことが全ての始まりであり観察する子どもの年代ごとの特徴を理解することが大切だと再確認しまし た。 正しい観察は、教師が毎日必ず実行しなくてはいけない技術です。

AMI のトレ ーニングで繰り返し語られる正しい観察方法や、観察者の心構えは実に素晴らしく、 理論だけでなく 9 時間の観察実習が課せられていることもモンテッソーリ教育の中でいかに正しい観察が重要であるかを示していると思います。

6-12 歳の子どもの特徴の代表的なものが、抽象化の能力と想像力の発達であり、その時期にグレートレッスンを受けることで、想像力を用い遠い過去や未来を想像する ことができるようになり、教科を超えた幅広い学びが可能になることを理解しまし た。

また探究心を満たすためのゴーイングアウトや、他者と協力してプロジェクトを 進めていく傾向など 3-6 歳とは違った環境を整えることも理解しました。知りたいと 望んでいたことを少しずつ知ることができたコースで、充実した 10 日間でした。

おわりに

0-3 歳、3-6 歳のモンテッソーリ教育については日本にも教師養成のトレーニング をうける場所があり多くの先生がご活躍されています。

ところがそれ以降の 6-12 歳、 思春期に関しては日本にはトレーニングを受ける場所がありません。トレーニングを受けるには外国で、日本語ではない言語で受けなければならず、語学力、経済力、家族の協力が得られるなどの条件をクリアした限られた人しかチャレンジすることさえできません。私自身も条件が折り合わず、学びたいのに学べない悶々とした日々を送 っています。 6 歳までモンテッソーリ教育の環境の中で育った子どもたちが、その先に行くあてが ほぼないというのはなんとも残念な状況であるとしか言いようがありません。

そのチャレンジができた 6−12 歳の、思春期の先生が日本には何人ぐらい存在しているのでしょうか?

6 歳以降のモンテッソーリ教育が日本であまり知られていないのは、教師が限りなく少ないからだと思います。いつか国内で日本語での教師養成コースが開催 され、多くの先生が誕生することを心から願っています。今回はモンテッソーリ・ファーム代表のあべようこ先生に 「国内にもこのコースに興味がある人がいるかもしれないから、その方たちのために 今回の経験を記事にしてみませんか?」と声をかけていただきました。

もし、私の経験がどなたかのお役に立つことができれば嬉しく思います。

(執筆者:古賀久美子

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モンテッソーリ・ファーム

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