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私の歌の原点、ミレッラ・フレーニ

2月9日、大ソプラノ歌手のミレッラフレーニが亡くなりました。モデナの自宅にて84歳の生涯を終えたそうです。(ちなみに2月27日生まれの魚座♓️)

イタリア人歌手で、カラヤンやパヴァロッティ、二人目の夫であるニコライ・ギャウロフとも多数共演し、世界中で歌い、ベルカントの高い技術を持つ歌手として知らない人はいないほどです。

私は、奇しくも亡くなられたその夜、モデナのあるエミリアロマーニャ州近くの田舎町の劇場で、お手伝い(昨年はイタリアでのオペラデビューだったが今年はお手伝い 苦笑)をしており、近くまで行っていたので、びっくりしていました。

というのも、私が初めてオペラというものに触れたのはフレーニの歌うミミのアリア(プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」)をCDで聴いたのが始まりであり、何もオペラも興味なかった高校生の私は衝撃を受けました。プッチーニの甘いメロディーと、オーケストレーション、そしてフレーニの声の、ナチュラルでいながらも伸びのあるクリアな音色に、一気に恋に落ちました。

ただ、声や発声に関して、まだ何も知らない田舎の音楽科に通っているだけだった私は、その後も色んな歌手の録音を聴きながらも、どうしてこうも人によって声が違うのか、その違いで耳の心地良さと音楽の輪郭の浮き上がり方が違う事に不思議な気持ちを覚えました。

あぁ、良いな、と思える歌手が、その当時の私の周りの情報や音源だけだと限度があり、フレーニのミミ、のあの完璧な歌唱と技術、オケとの掛け合いに勝る演奏には、なかなか行き合えませんでした。

そんなこんなで、私にとってのフレーニは、オペラの、特にイタリアオペラの、声の理想と声と芸術の原点を感覚として印象に残してくれた偉大な歌手だったように思います。

その感覚を、言語化したり、体感として感じられるようになる為には、私はかなりの長い道のりを要しましたが、いまイタリアで勉強しながら、やっとその感覚を感じられるようになり、それは正に、芸術といわれるものに通じるものだと実感しています。それほど、声の追求は思っている以上に繊細なものであり、心を映す鏡でもあります。

そんなことを感じながら、私はモデナのフレーニのお葬式まで向かっている列車内でこちらの文を書いております。

これは私の原点回帰でもあり、結局、直接は聴くことなできなかったフレーニの声でしたが、その感謝の気持ちを伝えたく、このタイミングでイタリアにいる事もご縁ですし、今後の決意も新たに面会できたら幸いです。

Monte Bianco Uco

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